第六十八話 集う女神達その二
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それでだ、こう言うのだ。
「ちょっと考えられないな」
「ですが本当に昔はです」
「胡椒はなかったんだよな」
「例えばステーキに胡椒と大蒜で味付けをするのですが」
「ははは、ステーキ自体ないよな」
中田はまずそれを否定した、それも笑って。
「冷凍技術がないとな」
「とてもですね」
「ステーキだってないよな」
「ステーキも比較的新しい料理ですから」
「スパゲティもだよな」
「それもです、そうですね」
聡美はスパゲティと聞いてここで思い出した、そしてこう言ったのだ。
「パスタも比較的新しい料理です」
「ルネサンスの頃からか」
「マルコ=ポーロ以前からあるにはありましたが」
それでもだったのだ、時代が違う為に。
二人はスーパーを共に歩きながら話しだした、立ち止まって話をするよりそうした方がスーパーでは自然で品物も探せて都合がいいからだ。
それでこうして話したのだ。
「非常に高価で財産になる程でした」
「パスタが財産かよ」
「はい、財産でした」
そうだったというのだ。
「これは意外だと思いますが」
「食い物が財産か」
実際に驚きと共に言う中田だった。
「ちょっと想像が出来ないな」
「ご馳走と考えられてもですね」
「ああ、財産っていうのはな」
それはとてもだというのだ。
「考えられないな」
「ですがかつてはそうでした」
「マルコ=ポーロの時代はか」
「はい、それより少し前です」
その頃はというのだ。
「そうでした」
「昔日本でもうどんとか蕎麦はご馳走だったけれどな」
江戸時代の元禄の頃から一般的になりだしたであろうか。それまでは麺類も非常に贅沢なものであったのだ。
「それでもな」
「財産とまではですね」
「いかないな」
「ですが本当の話で」
「スパゲティもそれじゃあ」
「スパゲティもな」
それもだというのだ。
「これも十九世紀からのものでして」
「本当に早いな」
「最初はトマトソースもありませんでした」
ソース自体がなかった、ミートソースにしてもボンゴレにしても。
「ただチーズをまぶして手で食べていました」
「フォークも使わなかったんだな」
「かつては」
「手で食うってな」
「茹でてチーズをまぶしたパスタを上に高く掲げてからです」
それからだというのだ。
「上を向いて食べていました」
「変わった食い方だな」
「ナポリではじまりまして」
南イタリアがはじまりだったというのだ。
「これはかつてのパスタ、マッケローニもでした」
「ナポリ起源か」
「マッケローニは今で言うフェットチーネに近くこれは今のパスタのそれに近いソースをかけてフォークを使って食べていました」
「けれどスパゲティはか」
「はい、そうして食べていました
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