反董卓の章
第19話 「「「 負けるな、バカァ! 」」」
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れば、まあ大体わかる。
(忘れていた……いや、忘れさせられていたのか)
その札には見覚えがある。
それは――魔術の札。
アーカムの魔女、ティア・フラットの魔術札。
(記憶の封印――そんなことも出来るわけか。さすが魔女……)
そう思うが、心に何の感慨を浮かばない。
今の俺は、感情というものがないんだろう。
この白い世界では、ただの事象として受け入れている。
(俺の記憶を封印した理由は――俺が壊れそうだったから、か?)
『和人』を殺し、俺は壊れた。
そしてその『性能』を発揮した。
生き残りの――全ての『俺』を殺して。
(そこにはなんの感慨もなかった。ただ敵だから殺した。親愛の情も、人殺しの罪悪感も、まったくなく――)
同じような顔、同じような身体、同じような境遇――
それら全てを壊れた俺は、消していった。
文字通り、その存在を『抹消』していった。
(そしてオリジナルである『一刀』と戦う前日、それは起こった)
アーカムの介入。
御神苗先輩を助けた朧が、その同種の計画に辿り着き、壊滅させるために乗り込んできた。
当時のスプリガンであった、山本主任やパーカップ・ラムディを含めた数人と共に。
そして俺と一刀は戦わせられる前に、助けだされた。
だが――
(誰も殺さなくて済んだ一刀と違い、俺は――完全に人格が壊れていた)
すでに機械兵士として完成しかけていた俺は、暴走して一刀すら殺そうとする危険があった。
だから、ティアさんと朧は……
俺の記憶を、封印した。
そして俺の記憶の片隅にあった『和人』を『一刀』だと誤認させ、そこから人格の再構築をした。
つまり――
(今の俺は……一刀を何よりも大事だと思っていた俺は、全て作られた人格だったんだ)
………………
本来なら、ここで朧やティアさんに憎しみでも湧くのだろうか?
だが、今の俺には何も感じない。
ただ、俺という存在の生まれた意味を薄っぺらだと思うだけ。
(……それでも、その事実を知った『俺』でも、やはり変わらないんだな)
自分の胸に秘めていた、ある『計画』。
それは『俺』が、一刀のためにと思っていた計画。
客観的に見れば、コレほど荒唐無稽な計画もない。
というか、他人から見れば、これほど馬鹿な計画もない。
だが――
(それでもやる気……か。というか……これで更に踏ん切りがついた形になるか)
だがそれも……ここで死ねば関係ない――
そう思って、また目の前の映像を見る。
その映像は、俺の前に佇む呂布の姿。
その瞳は、失望の色が混じっている。
(……そう
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