暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
反董卓の章
第19話 「「「 負けるな、バカァ! 」」」
[10/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
れば、まあ大体わかる。

(忘れていた……いや、忘れさせられていたのか)

 その札には見覚えがある。
 それは――魔術の札。

 アーカムの魔女、ティア・フラットの魔術札。

(記憶の封印――そんなことも出来るわけか。さすが魔女……)

 そう思うが、心に何の感慨を浮かばない。
 今の俺は、感情というものがないんだろう。

 この白い世界では、ただの事象として受け入れている。

(俺の記憶を封印した理由は――俺が壊れそうだったから、か?)

 『和人』を殺し、俺は壊れた。
 そしてその『性能』を発揮した。

 生き残りの――全ての『俺』を殺して。

(そこにはなんの感慨もなかった。ただ敵だから殺した。親愛の情も、人殺しの罪悪感も、まったくなく――)

 同じような顔、同じような身体、同じような境遇――

 それら全てを壊れた俺は、消していった。
 文字通り、その存在を『抹消』していった。

(そしてオリジナルである『一刀』と戦う前日、それは起こった)

 アーカムの介入。
 御神苗先輩を助けた朧が、その同種の計画に辿り着き、壊滅させるために乗り込んできた。
 当時のスプリガンであった、山本主任やパーカップ・ラムディを含めた数人と共に。

 そして俺と一刀は戦わせられる前に、助けだされた。
 だが――

(誰も殺さなくて済んだ一刀と違い、俺は――完全に人格が壊れていた)

 すでに機械兵士として完成しかけていた俺は、暴走して一刀すら殺そうとする危険があった。
 だから、ティアさんと朧は……

 俺の記憶を、封印した。

 そして俺の記憶の片隅にあった『和人』を『一刀』だと誤認させ、そこから人格の再構築をした。
 つまり――

(今の俺は……一刀を何よりも大事だと思っていた俺は、全て作られた人格だったんだ)

 ………………

 本来なら、ここで朧やティアさんに憎しみでも湧くのだろうか?
 だが、今の俺には何も感じない。

 ただ、俺という存在の生まれた意味を薄っぺらだと思うだけ。

(……それでも、その事実を知った『俺』でも、やはり変わらないんだな)

 自分の胸に秘めていた、ある『計画』。
 それは『俺』が、一刀のためにと思っていた計画。

 客観的に見れば、コレほど荒唐無稽な計画もない。
 というか、他人から見れば、これほど馬鹿な計画もない。
 だが――

(それでもやる気……か。というか……これで更に踏ん切りがついた形になるか)

 だがそれも……ここで死ねば関係ない――

 そう思って、また目の前の映像を見る。
 その映像は、俺の前に佇む呂布の姿。

 その瞳は、失望の色が混じっている。

(……そう
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ