反董卓の章
第19話 「「「 負けるな、バカァ! 」」」
[6/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
まこちらに飛びかかるのもほぼ同時。
(殴りにくる。それを避けて後頭部に一撃)
考える前に体が動いて、相手の攻撃を避ける。
そのまま無防備な頭に、恋の一撃を与えようとする。
けど、相手はそれを身体を丸めて背中で恋の戟を受け、そのまま前転するように身体を丸めたまま、両足を揃えて蹴りを放ってくる。
ゆっくりだけど、力強い一撃。
喰らえば結構痛そう。
だから恋はそれを避ける。
伸びきった足へと再度攻撃しようかと思ったけど、こちらを見る相手の目を見てやめる。
(こちらが攻撃する瞬間になにか来る)
そんな予感がして、そのまま離れた。
「……お前面白い。けど、遅い。本気出せ」
さっきのような猛烈な殺気はまだ放っている。
……たぶん、こいつはまだ本気じゃない。
まだまだ本当の力を隠している。
それを出したら恋はもっと楽しい。
だからこいつにそれを出させる。
だから言う。
「このままじゃお前負ける。だから本気で恋と戦う」
―― 盾二 side ――
――本気でこい?
相手がなにか言っている。
だが、フラットになった意識の底で呆れるようにそれを『視る』俺がいる。
すでに身体は自分の中から湧き出す衝動に任せている。
あの邑での時のように。
全てが真っ白になるような状況の中で、意識だけが切り離されたような感覚。
前はそのことを覚えていなかったけど、二度目だからか今はそれを客観視している自分がいるのが判る。
そう、まるで白い空間の中で大画面のTVモニターを眺めているような、そんな感覚。
自分の体と心が切り離されて、身体だけが勝手に動いている。
なら誰が俺の身体を動かしているのか?
たぶん、本能のようなもの。
そうとしか思えない。
けど、呂布は更に本気を出せと言ってくる。
(笑えるな――)
俺が俺でない状態なら、多分それは百%の本気。
一切の迷いも、一切の感情もない、ただの機械。
ここに至って、ようやく自分がなんだったのか判る。
俺は――御神苗先輩と同じだったんだ。
あの世界――スプリガンの世界で、御神苗先輩とは違う場所で。
アメリカ軍特殊実験部隊”COSMOS”の情報を得た、ソビエト連邦のコピープラン。
その実験体だったんだ……
COSMOSは御神苗先輩の手によって失敗した。
それでもソ連のコピープランは実施され……そして朧の手によって、それらは壊滅された。
俺と一刀はその生き残り……いや違う。
一刀こそが『オリジナル』だ。
俺は……その『コピー』。
文字通りの……
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ