反董卓の章
第19話 「「「 負けるな、バカァ! 」」」
[5/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
へと降りた。
どうっと倒れる霞の馬。
その胴体、心の臓の辺りには一本の矢が刺さっている。
「っ! 夏侯淵……」
曹操の背後にいた夏侯淵が、霞の馬の心臓を一撃で射抜いていた。
正面であるにも拘わらず、一体どうやって――
「……くっ! あんたらも邪魔するんか! 武人の癖に!」
「……気持ちはわかるが、華琳様に危害を加えさせるわけにはいかん」
「そうだ! 華琳様を助けるためならば、この身が如何に汚されようとかまわん!」
夏侯惇と夏侯淵。
二人は曹操のためならばいくらでも泥が被れる――そう言っている。
それほどの忠誠心。
おそらく、私や鈴々が桃香様に対すると同じように――
「……で、どうするの? 貴女は誰と戦うのかしら、張遼?」
「………………」
霞は黙って偃月刀を構える。
前を向いても、後ろを向いても敵しかいない、この状況。
――すでに、私に矛を交える気はなかった。
「……霞。投降してくれ」
「! 愛紗……」
霞の目に非難の色が浮かぶ。
わかっている……お前はここで死ぬつもりだったのだろう?
普段は飄々としているが、霞は武人の誇りを誰よりも大事にする。
そんな霞だからこそ……主である董卓殿への忠誠を自身の死で示そうとしたのが判る。
「私はお前に……死んでほしくはない」
「愛紗……」
その目が私を見て……自重するように力を抜き、武器を落とそうとして――
その時、地面が揺れた。
「「「「「 !? 」」」」」
その場にいた全員が……突如揺れ始めた地面に膝をつく。
地震!?
こんな時に……
だが、おかしい。
こんなにも長く続く地震は珍しい――
「な、なんだあれは!」
誰かが叫ぶ。
その声に、その場にいた全員がある方向を見た。
そこにいたのは――
―― 呂布 side ――
――楽しい。
こいつ、面白い。
恋、こんなやつと戦うの、初めて。
もっと本気出しても大丈夫そう。
そう思って半分以上の力で戟を振るってみる。
その黒い男は、その戟を紙一重で避けながら、自身の体を回転させるように蹴ってくる。
それを避けようとして――首を下げると、そこに相手の拳が迫っているのを感じた。
(この状態でも攻撃できる――結構すごいやつ)
でも、その速度は避けられないほどじゃない。
足の裏でその拳を受け止め、その反動で黒い男から離れる。
男が地面に四つん這いでこちらを見るのと、恋が地面に降りるのはほぼ同時。
(――また来る)
そう直感した恋が地面を蹴るのと、相手が四つん這いのま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ