反董卓の章
第19話 「「「 負けるな、バカァ! 」」」
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ど……一人が戦わせちゃ、ダメだと思う」
こんなに……胸が。
胸の奥が……痛い。
「だからお願い。私と一緒に……みんなで」
桃香様……すみません。
きっと、私は――
「みんなで、ご主人様を助けに行って下さい」
私は――桃香様に。
「だから、命じます。劉玄徳の名の下に! 全軍! 前進して呂布を押し返し! そしてご主人様を――天の御遣いを助けます!」
その言葉に、兵が一人、また一人と武器を掲げ――
「「「「 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!! 」」」」
大合唱となって、天地を揺るがした。
「行くよ! 朱里ちゃん!」
「――――っ! ハイ!」
桃香様の言葉に。
私はその醜い感情を押し込めて。
無理矢理に笑って声を出した。
―― 関羽 side ――
「はあっ!」
「せやぁ!」
馬上からの互いの一撃が、それぞれの偃月刀にぶつかり、火花を散らす。
「はあああああああっ!」
「せえええええええっ!」
そのまま幾数合――互いの無数の攻撃が、私と霞の間で打ち交わされる。
霞の攻撃は、神速の名前通りに速い。
星とほぼ互角の速さだろうか。
速度だけで言えば、私は一手遅れるかもしれない。
しかし、攻撃自体はそれほど重くない。
鈴々に比べれば捌くのも容易い。
恐らくは霞は、私と逆の感想を抱いているのだろうな。
互いの攻撃が馬上から繰り出される火花に、互いの馬が怯え、その場から一旦離れようとそれぞれ逆の方向に動こうとする。
その馬の行動に逆らわず、一旦距離を取り、再び互いを見据えた。
「ふーっ……さすがは関雲長や。一撃一撃が重うて、手がしびれるっちゅうねん」
「ふっ……そちらもさすがは神速張遼だけのことはある。すでに何合か、頬や腕を掠めたぞ?」
「ふん。当たり前や……と言いたいんやけど。そんなん自慢にもならん。結局紙一重で避けとるやんか」
「まあ、ぎりぎりな。霞とて私の一撃を受け止めているではないか」
「踏ん張らな、簡単に弾かれそうになるけどな……その分、ウチの馬が頑張ってくれとるよ。せやなかったら、さすがに堪えきれんかったわ」
互いに言葉にして、ふっと笑う。
私にとっても、霞にとっても、互いが互いに好敵手だった。
「……なあ、愛紗」
「……ん?」
「なんであんさんらは……盾二や桃香は、ウチらの味方をしてくれへんかったんや?」
「……っ!」
……霞。
それは違う、違うのだ……
「……私は今でも霞を、そして董卓殿を助けたい。心からそう思っている」
「ならなんでや!? なんで月と…
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