反董卓の章
第19話 「「「 負けるな、バカァ! 」」」
[11/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いや、俺の名前をくれたのは誰だったか)
その映像とは全く別の事柄を思い浮かべる。
すでに映像のことは興味がなかった。
(いつから俺は『盾二』なんて言われたんだ? 施設ではナンバーで呼び合っていたし……そういや、いつから五十六を『和人』と――)
そんな時、映像の外で誰かの叫び声が響いた。
(……ん?)
どこかで聞いた声。
女の、声。
それは再度、俺の名を呼ぶ。
(……なんで気になっているんだ? 関係ないだろ――)
そう思うのだが、気になってしまう。
あの女性は誰だ?
いや、あの女性たちは――?
そう思った俺の背後で、何かが音を立てた。
そう感じた。
封印された記憶のかけらか、それとも別の――
そしてそれは振り返る間もなく――
はじけて飛んだ。
―― 劉備 side ――
「立って! ご主人様!」
私は叫ぶ。
ただ、叫ぶ。
その場にいた誰よりも声を張り上げて。
誰よりも、貴方に届け、と。
「負けないで! ご主人様!」
こんなことを言うつもりはなかった。
――この場に着くまでは。
ご主人様を助けて、後方に逃げるつもりだった。
あのご主人様が敵わないなら――誰も敵わないから。
鈴々ちゃんも傷つき、ご主人様まで失いたくないから。
なのに――
「ご主人様! 立ち上がって!」
何故、なぜ私は――
ご主人様に立てと言うのだろう。
立ち上がれば勝てる?
――否。
私が叫べば勝てる?
――否。
そんなこと――できないってわかっている。
「貴方は立てるはずだよ! ご主人様!」
「玄徳殿、なにを――」
馬正さんの声がする。
その手が、私を制止しようと腕をつかむ。
けど、私はそれを――振り払った。
「ご主人様は負けないよ! 誰よりも――誰よりも!」
私は――矛盾している。
けど……それでも。
それでも!
「立ってぇ! 盾二ぃ!」
大好きな人に……負けて欲しくない!
「そうです! 立って下さい! 盾二様!」
!?
その声は……私の横から聞こえた。
「貴方が負けるところなんて――見たくありません!」
それは――朱里ちゃん。
「貴方は私達を超える存在なんです! 私を――諸葛孔明をがっかりさせないで下さい!」
その朱里ちゃんは、目に涙を溜め――それでも声を張り上げる。
「だから、立って! 立ちなさい! ご主人様!」
朱里ちゃん。
貴方は――
「そうよ!
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ