反董卓の章
第19話 「「「 負けるな、バカァ! 」」」
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…!」
わかってる……わかっています!
けど……それでも!
「……盾二様は、どんなことがあろうとも、桃香様だけは守れと厳命しているはずです! それを破るわけにはいきません!」
「孔明様!」
「ご主人様を信じられないのですか!?」
「…………っ!」
……つい、盾二様をご主人様って言っちゃった。
盾二様にはいつもやめろと言われているけど……私や雛里ちゃんにとっても、盾二様はご主人様でもある。
「私達の任務は、桃香様を守ること! 最悪の場合は桃香様だけでもここから逃すこと! その桃香様の直衛兵ならば、桃香様の元から離れられないのは当然です!」
「……………………」
周囲にいた兵たちが歯噛みする。
気持ちはわかる……ううん、誰よりも私が駆け出したい。
盾二様の元へ……
「……なら、私が前進を命じればいいんだよね」
「「 !? 」」
その声に、周囲にいた兵が一斉に振り返る。
そこにいたのは……桃香様。
「とうか、様……」
「ありがとう、朱里ちゃん。ありがとう、兵士の皆さん……私が弱いから、いつも私を護ってくれて」
桃香様はそう言って兵に、そして私に頭を下げた。
「りゅ、劉備様……」
「玄徳様……」
兵たちが自身の主が頭を下げたことに、動揺が走る。
当然です……この大陸において、上位の者が下位の者に頭を下げるのは、その首を討ち取れというぐらいの意味。
下克上を示唆するようなものなのですから。
「でもね。私は……本当は誰にも死んで欲しくないの。戦争やっているのに……おかしいよね?」
そう言って泣きそうな顔で笑う……桃香様。
「でも、私がどう思おうと……周囲は私や私の仲間を殺そうとしてくる。だから、せめて……私は、私の周囲の人だけは救いたい。いつもそう思っている」
「桃香、さま……」
「その方法を、ご主人様が……北郷盾二という人が、道標をくれたの。私がただ、身近な人しか助けられなかった私が。今、梁州という数多くの人を助けられる場所に、引き揚げてくれた」
「………………」
「……大事な、人なの」
桃香様が、笑いながら……笑いながら、涙を――
「私は――北郷盾二という人を失ってまで、助かりたいとは思わない。鈴々ちゃんや愛紗ちゃん……二人とは共に死ぬ約束をしているけど、それでもご主人様が死ぬところだけは、見たくないの……」
――っ!
胸が……痛い。
なんで……?
なんで私は…………
「鈴々ちゃんを助けて……ご主人様は一人呂布と戦っている。ご主人様が負けるとは思わない――思いたくない。でも……」
私は、どうして……こんなに。
「それでも……ご主人様は、誰よりも強いけ
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