Development
第二十三話 Boy meets boy(?)
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に、サラ・ウェルキンさんはご存知でしょうか? わたくしは本国で彼女に操縦技術を教えてもらっていた時期がありまして……その際にあなたのことはよく伺ってましたの」
なるほど、そういえば彼女もイギリスの代表候補生だった。そのときに交流があったんだろう。彼女が僕のどんな話を聞いたのかは気になるけど。
「わざわざ日本なんかに来たのも、彼女が嬉しそうに話すあなたの操縦技術や人柄をこの目で見るためでもありました」
その言葉は、内容こそ僕を褒めるようであってどこか棘がある。そしてそれは次の言で決定的となった。
「ですが……正直、失望しましたわ」
大きくため息を吐くように、オルコットさんは言い放った。
「……自分が憧れを抱かれるような高尚な人間だとは思っていませんが、参考までにどうしてそう感じたのかお聞かせいただけませんか?」
実際、身に覚えがない。勝手に僕の人物像が独り歩きして失望される。……ここ数日で幾度か経験していることだ。失望というより嫌われているんだけど、現在進行形で。
いまこのタイミングなら自然に理由を聞き出せる、そうすれば簪さんや箒さんへのアプローチの手がかりになるかもしれない。
「……逆にこちらがお聞かせいただきたいですわ。なぜあなたは代表候補生にならないのですか?」
僕が代表候補生……ね。考えたことがないわけではないけど、実際のところ国家の直属になる訳で。そうなった場合、束さんに関する事項や僕自身のことなんかで話せないことが多すぎる僕なんかが認められるわけがないし、僕もごめんだ。
でも、そんなことをオルコットさんに話すわけがいかないので、どうしようかと思案しているとこちらの返事を聞く気もないのか、そのまま捲し立ててくる。
「日本の同年代の代表候補生に至っては専用機すらまだない、その上姉に比べて不出来と言われている妹。一方、期待していた男性操縦者も織斑先生の弟であることが疑わしいくらいの野蛮な猿ではありませんか。その上そんな素人とわたくしが戦わなければならないなんて……勝敗なんて戦う前から決まってますわ!」
……半分愚痴のようになっているが、今のは聞き捨てならない。
織斑君のことはよく知らないから何とも言えないけど、簪さんは違う。操縦技術なんかはまだ直に見ていないけど楯無さんもある程度認めている。それ以上に目を瞠るのは演算処理だ。以前、彼女が開発している自身の専用機の作成中のディスプレイがチラッと目に入ったことがあったけど、あれだけの処理を一人でやってのけるのはそうそうできることではない。
姉補正がたぶんに含まれるとはいえ、楯無さんの評価はあながち的外れではない。
「……油断をしていると足元を掬われますよ? 今の慢心しきったあなたなら、更識さんはもとより織斑君に
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