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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Development
第二十三話 Boy meets boy(?)
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、か細い声で箒はそう言った。それは相手に聞こえたかすら怪しい、それでも普段から素直ではない彼女にとっての精いっぱいだったのだろう。だが、一夏の耳には確かに届いていた。

 その後、一夏は箒に事の経緯を訪ねようとするも拒まれる。彼女から聞きだすのは難しい、なら、と。

「えっと、あなたは……」
「1年4組の西園寺紫音です。ただ、試合の経緯については彼女が話さないなら私からも話すことはありません、ごめんなさい」
「あぁ、同じ一年だったのか。でも、う〜ん……」

 しかし、残る可能性も絶たれてしまう。
 それどころか、さらなる疑問もわき起こる。目の前の紫音という少女は自分と同じ学年だという。にもかかわらず、姉である千冬の構えを使いこなし全国優勝経験者である箒を倒した。
 今はほとんど剣に触れていない一夏であるが、だからこそそれがどれだけ異常なことかが理解できた。一朝一夕でできる構えではないし、無名の人間が簡単に勝てるような相手では決してない。

「なぁ、なんで千冬姉の構えを……」
「一夏、もう行くぞ」
「あ、おいちょっと待てよ」

 しかし、その疑問をぶつけようにも再び箒に遮られる。
 このまま連れ出される訳にもいかないのでせめて、と自分の名前だけでも伝える。もっとも、自己紹介などするまでもなく男子生徒など一人しかありえないのだが。……もちろん、一般的に見て、であるが。

「えっと、西園寺さん。俺は織斑一夏! 何があったのかわからないけど、聞きたいこともあるし今度ゆっくり話をさせてくれ!」

 紫音から返事はなかったが、その言葉に笑顔が返ってきたのでホッと安堵する。同時に、初めて正面から紫音のことを見た一夏は再びその姿に固まる。先ほどまでは得体の知れない相手、ということで緊張感のほうが勝っていてそれどころではなかった。それが切れた今、初めて目の前の女生徒……紫音の容姿を認識することできたのだ。

 女子校ともいえるこの学園に入学して数日、既に多くの女生徒に言い寄られている一夏であるが自身は気づいているのかいないのか、飄々としている。だが、それは彼が決して女性に興味がないわけではなくある意味感覚がマヒしているのだ。いや、マヒさせなければこの学園では初日で心が折れただろう。一種の自己防衛手段だ。
 そう、紫苑が既にそうであるように……。まぁ、本人は否定するだろうがまともな感覚では精神がもたないのだ。決して、一夏が朴念仁というわけではない……はずだ。いや、もとより鈍かったのがさらに鈍くならざるをえなかった、が適切だろうか。

 女尊男卑の世の中で、強い女性達。当然、この学園でもそういった女性も多い。それはつい先日に対立したセシリアや彼の隣にいる箒、彼の姉である千冬の例を見れば嫌というほど分かるだろう。
 そんな中で現
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