第25話 ミンディア星域会戦 後編
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状態に無い。
「いかん、このままでは……」
アドルフは何度目かの死を覚悟した。
……救いは、思わぬ方向から差し伸べられた。
「まったく……手間を掛けさせるわね」
位置的に被害を免れたマリナ艦隊は迫り来る連合軍の側面を砲撃し、分断する。
「おお、マリナか。助かったぞ!」
妹であるマリナ・フォン・ハプスブルク上級大将の機転により、アドルフは九死に一生を得た。
そんな中、1隻の艦艇がフリードリヒ・デア・グロッセに高速で接近してくる。
「敵強襲揚陸艦、接近!」
「『回想シーン強制流し装置』間に合いません!」
「くそっ、狙いは俺か!」
「おそらくは」
「我が軍に大損害を与えた小惑星群も先程のワイゲルト砲…いやゲルマン砲モドキも全てこのための布石とは……」
「敵強襲揚陸艦に接弦されました!」
遂に連合軍は総旗艦フリードリヒ・デア・グロッセへの侵入を果たす。だが、
「リューネブルク、シェーンコップに連絡だ。敵を殲滅せよ…と」
小心者のアドルフはこんなこともあろうかと、装甲擲弾兵のNo1、2を自艦に搭乗させていた。
侵入した部隊は、控えていた装甲擲弾兵によって一人残らず殲滅される。
「危ないところでしたな」
「俺自身の憶病さに救われたな……、戦況はどうなっているか?」
「依然として我が方が不利です。ですが……」
「我が軍は立ち直りつつあり、後は時間が解決する……という訳だな」
「はっ、敵は形振《なりふ》り構わぬ攻勢により限界点に達しつつあります。新たな奇計奇策が無い限り、我が軍の勝利は時間の問題です」
「そうか、ならば良し。このまま攻撃を続行せよ」
アドルフの攻撃続行命令により、銀河帝国軍は態勢を立て直しつつも1隻、また1隻と敵艦を葬っていった。
* * *
「ルフェール軍、九王国連合軍、撤退していきます」
「そうか……」
「僕達は武器弾薬もエネルギーも尽き、最早抵抗のしようもありません」
「女王陛下はどうなる?」
「……分かりません。ですが、今の僕達にはどうする力もありません………」
「そうか……」
「バドエルさん、降伏の決断を」
「……分かった。全艦機関停止、全軍……降伏せよ!」
宇宙暦813年/帝国暦504年 7月19日 3時19分。
双方に10万隻以上の損失艦を出した史上最大の会戦は、ティオジア軍の降伏により幕を閉じた。
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