第25話 ミンディア星域会戦 後編
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宇宙暦813年/帝国暦504年 7月15日 23時09分。
ミンディア星域の戦いは乱戦状態となっていた。
「戦線は期せずして乱戦状態になってしまいました。ここはミッターマイヤー、パエッタ両艦隊の救出後いったん退いて陣形を再編するのがよろしいかと」
参謀長のチュン・ウー・チェン上級大将がアドルフに進言する。
「……そうだな。それにしてもルフェールの馬鹿共め、奴らが無秩序に突撃してこなければ収拾は容易かったものを。これだから戦場を知らない奴は……」
アドルフは顔を顰めながらルフェール軍を罵る。
ここまで混乱が広がった背景として、大本の原因はルフェール軍3個艦隊の突撃にある。
銀河帝国軍の殺到も、ティオジア軍前衛部隊の突撃も、多少の混乱を齎《もたら》しはしたものの、ある程度の秩序はあった。
だが、ルフェール軍の3個艦隊が無暗に突撃したことで秩序は失われる。
残ったのは、18個艦隊が入り乱れるという混乱した戦場のみであった。
味方艦の砲撃が味方艦を沈め、僚艦同士が接触、退く事も横に逸れることも出来ずに前方の敵艦にぶつかる……そんな風景が到る所で見られた。
そんな中、ミッターマイヤー艦隊とパエッタ艦隊が敵中からの脱出に成功したとの報がフリードリヒ・デア・グロッセに届けられた。
「ミッターマイヤー、パエッタ両艦隊が脱出に成功しました!」
「よし、全軍に後退命令を出せ。多少の損害は構わん」
両艦隊の脱出を確認したアドルフは即座に全艦隊を後退させ、戦線の収拾を図った。
・・・・・
旗艦フリードリヒ・デア・グロッセから発せられた後退命令は、ファーレンハイト艦隊旗艦アースグリムでも確認された。
「ファーレンハイト提督、本営より後退命令です」
「そうか、味方は後退するか」
「はっ、中央の艦隊はもちろん、既にアイゼナッハ、スプレイン、シューマッハ3艦隊とも後退に移っています」
「ふむ……ならば我らも退かねばなるまい。だが、差し当たって目の前の艦隊が邪魔だな。容易に見逃してくれるとは思えん」
「ですが、このまま戦闘を続ければ我が艦隊は敵中に孤立することになります」
「分かっているさ、だからここで敵旗艦を討つ。艦首大型ビーム砲発射用意」
「艦首大型ビーム砲発射用意。照準、敵戦艦」
「撃て!」
アースグリムの艦首から放たれた大口径ビームがルフェール第四艦隊旗艦アブソートを僚艦ごと撃沈する。
ルフェール一の猛将と謳われたベルゼー中将は、一瞬にして宇宙の塵となった。
「敵が崩れました!」
「よし、続けて主砲斉射三連」
「主砲、斉射三連」
旗艦を失った第四艦隊は指揮系統が混乱し、続けて行われた攻撃に対処できずに統制を完全に失った。
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