九 黄塵万丈
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第四の門『傷門』を開いている。
捨て身の禁術を発動させるリーに、ナルトは一瞬双眸を閉じた。そして再び見開いた時には、彼の左目は僅かに緋色を帯びていた。
チャクラが増幅するのと相俟ってリーの身体中の筋肉が盛り上がる。髪が逆立ち血管が浮き出る彼の鼻からたらりと血が一筋垂れた。空気が振動し、見る者全てを震撼させる猛威を、今のリーは全身で露にしていた。
リーのチャクラで舞い上がっていた石が一粒カチンと床に落ちる。
その音を合図に、リーはナルト目掛けて一気に踏み込んだ。
途端、闘技場床はリーの凄まじいチャクラにより瓦礫と化す。同時に砂埃が天井まで巻き上がった。
砂塵を鬱陶しそうに見遣りながら、ナルトはくいっと人差し指と中指を動かす。
観覧席から試合を俯瞰している者でさえも捉える事が出来ない速度で、リーはナルトの足下へ滑り込んだ。そして【表蓮華】同様、空に突き上げるような蹴りを放つ。
だが、リーの鋭い蹴りは空振りに終わった。
対戦相手たるナルトの姿が消えていたのだ。
(…どこに…っ!?)
周囲を見渡すリーの背後から抑揚のない声がした。
「ここだ」
急ぎ振り返ったリーだが、既にその場には誰もいない。いくら四門を開いても相手が見えなければ意味が無い。
(まさか僕より速く移動してるのか…!?八門遁甲無しで!?)
ありえないが、現に今リーの眼はナルトの姿を認識出来ない。上手く気配を消しているか、己より遙かに速いか、どちらかしか考えられない。
(ならば焙り出すしかない…っ!!)
どちらにせよ闘技場からは出ていないはずなので、リーは闘技場を手当たり次第壊し始めた。八門遁甲により彼の腕力は数段に上がっている。闘技場そのものが全壊するのではないかというほどの力。故に床や壁を砕く度に立ち上る砂埃が闘技場全体を覆っていく。
「ごほごほっ!これじゃ何も見えないじゃない…っ」
サクラ達観覧席の者が咳き込む中、じっと試合を食い入るように見ている我愛羅。今にも闘いたいと逸る気持ちを抑えるため、彼はぐっと腕に爪を立てた。
既に床や壁が成り立っていない闘技場。瓦礫の山を積み上げたリーが眼を忙しなく動かし周囲を見渡す。視界を覆う煙の中で、再び声が響いた。
「どこを見ている?」
一瞬ナルトの気配が露になる。リーは察した気配の居所に、凄まじい速さで突っ込んだ。
だがやはりソコには誰もいない。砂埃が邪魔だと考えたリーは、蹴りにより発する旋風で闘技場を覆う埃を掻き消そうと構える。腕力と同様脚力も普段の何十倍にもなっているからだ。
だが後方に振り上げようとした足がなぜか動かない。腕も微動だにしない事にリーは訝しむ。両手・両足が全く動かせない。まるで何かに縛られているような……。
(…まさか)
煙
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