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渦巻く滄海 紅き空 【上】
九 黄塵万丈
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る。
得体の知れない恐怖がリーの胸中に沸き起こる。砂の我愛羅とはまた違う、威圧感を発するナルトにリーは完全に気圧されてしまっていた。

だが観覧席を目の端に捉えた彼は、はっと息を呑む。リーの視界に、師であるガイの微笑みが映ったのだ。
(先生が笑って見てくれてる…。それだけで、ボクは強く蘇れる事が出来る――――更に強く。もっと強く!!)
ナルトの存在感に呑まれていた彼は、ガイの笑みを見ただけで落ち着きを取り戻していく。ぐっと拳を握り締めた後、彼は再び右手の甲を掲げた。



ロック・リー…忍術も幻術も出来ない[熱血落ちこぼれ]と言われていた彼は努力の天才だった。体術も人並み以下だったリーだが、彼はひたすら体術向上に打ち込んできた。
「たとえ忍術や幻術が使えなくても立派な忍者になれる事を証明する」。ある意味波風ナルと似た忍道を持つ彼はその目標を糧に体術のみに力を費やしてきたのだった。
「俺が笑って見てられるくらいの強い男になれ!!」というガイの言葉を信じて生きてきた。
だからリーは……―――――――――。




突然両腕を交差したリーは、己の身体の中を流れるチャクラを感じる。そして双眸を閉じて独り言のように呟いた。
「木ノ葉の蓮華は二度咲きます。………ガイ先生、認めてください。今こそ……」
【表蓮華】を使ったために枯渇していたチャクラを無理矢理引き出す。リーの身体からチャクラが荒々しく立ち上り始めた。

「自分の忍道を貫き守り通す時!!」

ガイと約束したこの術を使う際の絶対条件を高らかに叫ぶ。するとチャクラ増加と呼応するかの如く、赤く変色していくリーの体躯。【表蓮華】にて崩した闘技場床の破片が彼のチャクラに煽られたのか宙に舞い上がる。






(第三の門『生門』を開けたな…)
リーの突然の変貌にも動揺せず、ナルトは冷静に状況を把握する。

チャクラの流れる経絡系上には頭部から順に『開門』『休門』『生門』『傷門』『杜門』『景門』『驚門』『死門』と呼ばれるチャクラ穴の密集した八つの場所『八門』が身体の各部にある。
この『八門』は身体に流れるチャクラの量に常に制限を設けているが、【蓮華】はその制限の枠を無理矢理外し、本来の何十倍にもあたる力を引き出す事を極意とする禁術である。
先ほどナルトに使った【表蓮華】は『八門』の内第一の門『開門』だけを開き、脳の抑制を外し人の筋肉の力を限界まで引き出して繰り出す技。
対して【裏蓮華】は第二の門『休門』で無理矢理体力を上げて、第三の『生門』から【表蓮華】を遙かに超える高速移動及び攻撃を可能とし、更に『八門』全てを開く事で少しの間火影すら上回る力を手にする事が出来る。だがその代わりその術者は必ず死ぬという、非常に危険な術なのだ。



リーは既に
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