TURN117 カテーリンの来日その十五
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「それでは」
「うん、この政策はね」
「ペレストロイカですね」
そうなるというのだ、ゲーペはカテーリンに答えた。
「我が国にとって」
「うん、じゃあこのペレストロイカでね」
「ソビエトを本当の意味で皆が幸せになれる国にしましょう」
「秘密警察も役割を変えるから」
ゲーペが統括する彼等についてもだった。
「もう人民の皆を監視するんじゃなくてね」
「普通の警察としてですね」
「統合していくから、御願いね」
「はい、わかりました」
元々ゲーペは内相でもあり警察も統括している、だからこの決定にもよく理解したうえで頷いた。
「それではそちらも」
「ゾルゲ大佐にも伝えて」
これまで日本の捕虜となっていたが戻って来た彼にもだというのだ。
「これからは普通の軍人としてね」
「活躍してもらうのですね」
「そうしてもらってね。それじゃあ」
「はい、それでは」
「ソビエトの政策は変えるから」
ペレストロイカ、それを行ってだというのだ。
「そうするから」
「では」
「それじゃあ早速だけれど」
カテーリンは話が一段落ついたところでゲーペにこうも言った、壁の時計を見ると丁度おやつの時間だった。
「先生は何を食べるの?」
「はい、ではケーキを」
「ガメリカのケーキ貰ってるけれど」
「いえ、あれはどうも」
ゲーペはカテーリンの今の誘いには少し苦笑いになって返した。
「食べるには抵抗を感じます」
「色が、なのね」
「あの青やオレンジは合成着色料です」
自然では有り得ない色だというのだ。
「ですから」
「身体に悪そうだから」
「遠慮させてもらいます」
「ううん、じゃあね」
それではと応えてだ、カテーリンは今度はこのケーキを出した。
「オーストリアさんのケーキでいい?」
「ザッハトルテですね」
「それとコーヒーでね」
この組み合わせでどうかというのだ。
「どうかしら」
「はい、それでは」
ゲーペはこちらには笑顔で応えた。
「共に」
「ガメリカのケーキは私が食べるから」
「同志書記長がですか」
「だって折角の頂きものだから」
それでだというのだ。
「残したら駄目だから」
「それで、ですか」
「それにケーキだから」
食べる理由はこれもあった。
「大好きだから」
「しかしそれでは」
「いいの、先生はザッハトルテを選んだから」
「選んだからですか」
「選べる社会でもないとね」
カテーリンは微笑んでこうも言った。
「決められるだけじゃなくて」
「選ぶこともですか。これからは」
「必要だと思うから、じゃあね」
「ではケーキを」
「先生はコーヒーよね」
「ウィンナーを。自分で淹れます」
「じゃあ私もそれにしようかしら」
「同志書記長もですか」
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