六 胡蝶の夢
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らない。だがナルトはただ立っているだけで何かした気配すら感じなかった。
(一体…何かカラクリでもあるのか…?)
白眼を未だ使い続けたまま、ネジは目前の少年を注視する。ネジ含む木ノ葉の忍びの視線を一身に受けているナルトは、多由也に何かを渡しているようだった。受け取った多由也は、未だ呆けているドス達の頭を引っ叩いて茂みの向こう側へと去って行った。
ネジ以外の唖然としていた面々は、サクラの悲痛な声ではっと我に返った。
「サスケくん!」
ずるずると幹に体を横たえるサスケの許にサクラが一目散に駆けて行く。
「心配ない、気絶してるだけだ」
ナルトの一言で木ノ葉の忍びは皆ビクリと肩を震わせた。その様子に苦笑しながら彼はサクラのほうへ視線を向ける。
「そこの、桃色の髪の子」
「えっ、あ…」
当惑するサクラを安心させようと、ナルトは人の良さそうな笑みを浮かべた。
「今気を失っちゃった黒髪の子に伝えてくれるか?その“呪印”は使わないほうがいいって」
「じゅ、呪印?」
「さっき彼の体に纏わりついてた斑模様の事だ。今は意識がないから引いてるけど。呪印は、力を与えてくれるけどそのぶん体はボロボロになって下手したら……死ぬよ?」
「…っ」
にこにこと笑顔で[死ぬ]という単語を口にするナルト。その様は酷くアンバランスで、彼の笑顔をサクラは恐ろしく感じた。
口を噤んでしまったサクラに代わって、いのが問い掛ける。
「なんでそんなこと教えるのよ〜。大体あんた、さっきの音忍の仲間でしょ」
「………」
答えの代わりに肩を竦めたナルトは辺りを見渡した。そして倒れているリーの姿に眉を顰めた彼は、おもむろにリーの耳元で手を翳す。
「リーに何を…っ」
リーを庇うため慌てて飛び出したネジとテンテンは目を見張った。満身創痍だったリーが急にガバリと身を起こしたからだ。
「あれ?」
「耳、聞こえるか?」
「は、はい!聞こえます」
こくこくと頷くリーを確認し立ち上がったナルトは、警戒するネジとテンテンに笑顔を向ける。あまりにも邪気の無い笑顔に、彼らは毒気を抜かれた。
すいっとナルトの瞳がある一点を見据える。そこには未だ倒れているナルと庇うようにして傍にいるシカマルの姿。
次にサスケとサクラに視線を向け、ふっと笑ったナルトは一本の巻物を取り出した。
(なんだ…?)
ナルトの行動を不審に思う木ノ葉の忍び達。彼は取り出した巻物をサッと広げ、瞬時になんらかの印を結ぶ。途端、その巻物からどさどさと数本の巻物が白煙と共に落ちてきた。
訝しげな表情でそれを見ていたサクラ達は息を呑む。落ちて来た数本の巻物は、今正に自分達が求めている『天』と『地』の書だったのだから。それもこの場にいるチーム全員が合格出来るほどの数。
「あげる」
次いでそう口
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