六 胡蝶の夢
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
サスケの焦りを感づいたのか、「ああ、すまない」とナルトがぱっと彼の足から手を放す。足の自由を取り戻したサスケは一端距離をとるためナルトから離れた。
「多由也。ドス達を連れて下がって」
「わかったよ」
そう言われた多由也はナルトの前でのしおらしい態度とは一転して、「クソヤロ―ども、行くぞ!」とドス達を茂みまで引き摺って行く。
「行かせるかよっ!」
その四人目掛けてサスケが再び印を結ぶ。体を這う斑模様が濃くなるのと相俟って彼のチャクラが膨れ上がった。
「【火遁・業火球の術】!!」
かなりのチャクラを練り込んだ火球は等身大の大きさにまで巨大化する。ザクや多由也に放った時とは大きさも威力も桁違いの炎の球。それは確実に多由也達へ命中するはずだった。
しかし、火球はふっと掻き消える。何時の間にか多由也達の前に立っていたナルトによって。
「なッ!!??」
まるで蠅を払いのけるような仕草で、人ひとり呑み込むほどの巨大な火球は消されてしまった。その際空間が若干歪んだが、ほんの一瞬の事だったので誰も気に留めなかった。
不可解なその出来事に、サスケは愕然とする。サスケと同じく、シカマル達木ノ葉の忍び・ドス達でさえも今の謎の現象に動揺していた。
人…いや大人ひとり優に包み込めるほどの巨大な火球をか細い腕一本で払いのけ、同時に掻き消したのだ。この目の前の少年は。
「……てめえ、何者だ?」
「紹介しなかったか?一次試験の前に」
こてりと首を傾げるナルトに対して、サスケは引き攣った表情を浮かべる。
「ふざけるな!!」
「よせ、サスケ!」
シカマルの諫める声を無視し、サスケは凄まじい速度で駆け出す。そして思い切りナルトに向かって拳を振るった。
パンッ
何かが弾けるような音がその場に響く。そしてその音と共に一瞬でサスケの体は吹き飛ばされた。
「ガハッ」
吹き飛ばされ、背中を巨木の幹にてしこたま打った彼は意識を失う。一瞬の出来事に、その場の面々は皆言葉が出なかった。
何が起こったのか全くわからなかった。ナルトはただ静かに立っているだけで何もしていない様子だ。それにも拘らずサスケは吹き飛ばされた。
唯一冷静にその戦闘を眺めていたネジが、ピキキ…と白眼を見開く。百m先を見通し、体内のチャクラでさえも見切るその特殊な眼を持つ彼はナルトを凝視した。
(なんだ、アレは…)
白眼はチャクラの流れる経絡系や点穴をも見抜ける瞳術である。しかしその眼を持ってしてもナルトがサスケを吹き飛ばした原因を探る事は出来なかった。
敵の攻撃を弾くには日向宗家に伝わる【八卦掌回天】くらいしか思いつかない。だがその術を使うには全身からチャクラを出しながら、自ら回転しなければな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ