六 胡蝶の夢
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体を覆い尽くす斑模様に彼女は一瞬眉を顰めた。
「た、多由也…!?いつから…」
愕然とした風情で問い掛けるドスを無視して、多由也はぐっと腰を屈める。
こちらの手の内を見せるわけにはいかないため笛は使わない。
体術で十分だ、と戦闘体勢に入った多由也に、標的を定めたサスケがくくっと喉で笑う。
「ふん。コイツらよりは楽しめそうだな」
(器候補の力、見せてもらうぜ)
サスケの見下したような笑みに対し、思わずむっとする多由也。
ダンッと踏み込んだかと思うと、ドス達とは比べものにならない速度で多由也はサスケの懐に潜り込む。そのまま振るわれた彼女の拳をかろうじて避けたサスケは、起爆札つきクナイを投げつけた。そのクナイを軽く避けた多由也はサスケの顔面目掛けて回し蹴りを繰り出す。
サスケの投げたクナイは木の幹に突き刺さり、木片があたりに飛び散った。
回し蹴りをかわしたサスケは蹴ろうとしていた彼女の左足を逆に掴む。だが多由也は空中で反転し今度は右足でサスケの額を蹴りつけた。腕から逃れた左足でそのままサスケの足を払い、転倒し掛ける彼に向かって数枚の手裏剣を投げつける。足を崩しながらも【火遁・業火球の術】の印を結ぶサスケ。炎の球により手裏剣がパラパラ消炭となって落ちていく―――。
一歩下がった場所でドス・ザク・キンは多由也とサスケの闘いを呆然と眺めていた。速度も力も自分達とは違い過ぎる。同じくサスケの後方でもサクラ達がはらはらと二人の闘いを見ていた。
(互角か……いや、)
巻き添えを食らうまいと木の洞へ避難したシカマルは、倒れているナルの傍で冷静に状況を判断する。
先ほどサスケが投げた起爆札つきクナイで粉々に散らばった木片に、多由也が足をとられる。その機を逃さず、にやりと歪んだ笑みを浮かべたサスケは今までとは比べものにならない渾身の蹴りを放つ。
「くッ」
回避出来ないと悟った多由也は両腕を交差させ、防御の構えをとった。
その瞬間――――。
多由也とサスケの間にひとつの人影が突如割り込んだ。速度も加わりキレのいい蹴りを見せるはずだったサスケの足は、その第三者にあっさりと掴まれている。
突然現れたその人物を視界に入れ、多由也は防御の構えをとったまま驚愕の表情を浮かべた。
「ナ、ナルト…」
「多由也、ご苦労様。でも木ノ葉には手を出さないでくれって言ったはずだったけど…?」
にこりと口許に笑みを浮かべる金髪の少年―ナルト。しかし彼の眼が笑っていない事に慌てた多由也はすぐさま「わ、悪い…っ」と謝った。その間、足を掴むナルトの手を外そうと躍起になるサスケ。しかしながら、女のように細いナルトの手はサスケがいくら暴れても微塵も動かない。
(な…なんだ、コイツ…どこにこんな力が…)
内心驚愕する
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