TURN117 カテーリンの来日その五
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「御免なさい、工作員のことは」
「お気になさらずに」
「けれど私は」
「いいのです、戦争のことですから」
それならばだというのだ。
「お互いに死力を尽くすものですから」
「だからなんですか」
「お顔を上げて下さい」
帝は畳の部屋のその場所に座ったまま述べる。
「あらためてお話をしましょう」
「それじゃあ」
「では皆さんお座りになって下さい」
帝からカテーリン達に言う。
「それでお話を」
「わかりました」
カテーリンは帝の穏やかな言葉とそこにある度量に内心驚嘆しつつも応えた、そのうえでだった。
帝と話をした、その話は講和のこととこれからの日本とソビエトとのことだった。
その話が終わってからだ、カテーリンは用意されている宿舎に戻ってから言った。
「あの人が日本の帝なのね」
「うん、そうよね」
ミーリャもカテーリンに応える。
「世襲じゃないって聞いてたけれど」
「君主でもね」
日本帝国の帝は柴神が選ぶ、そこが違うのだ。
「何か。君主っていっても」
「それぞれなのね」
「それにね」
カテーリンは今も考える顔だ、その顔での言葉だった。
「君主っていっても責務があるのね」
「はい、そうです」
カテーリンの今の言葉にはゲーペが答えた。
「世襲といいましても。エイリスがそうですが」
「やらないといけないことがあるのね」
「申し上げることが出来ませんでしたが」
今まではそうだったというのだ。
「ですがそれもありまして」
「君主も好き勝手は出来ないのね」
「それでは務まりません」
こうカテーリンに話す。
「到底です」
「そうなのね、それじゃあね」
「それではとは」
「オフランスのシャルロット王女とね」
今度は彼女の名前を出した。
「お話したいけれど」
「あの方とですか」
「うん、出来るかな」
怪訝な顔でゲーペに問うた。
「それは」
「出来ます。既に予定に入っています」
「そうなの、だったらいいけれど」
「同志書記長はこれから枢軸諸国を巡られます」
そうしてだというのだ。
「そこで様々なものを御覧になられるでしょう」
「日本で見ているのと同じで」
「はい、そうです」
そうだと答えるのだった、そして実際にだった。
カテーリンはガメリカも中帝国も巡った、その時にだ。
やはり様々な場所を案内され様々なものを見た、どちらも確かに貧富の差はあるが活気に満ちて雰囲気は明るかった。
その明るいものを見てだ、カテーリンはまた言った。
「どっちも資産主義で貧富はあるけれど」
「どうだったかな」
「活気が凄いのね」
こうロシアに答える、両国を巡って別の国に向かう途中の乗艦の中でのやり取りだ。
カテーリンは窓から銀河を見ている、そう
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