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第二十二話 すれ違い
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けていないため、紫苑はもとより寸止めで終わらせるつもりだった。本来なら、これで終了となるはずである。
しかし、箒は止まらなかった。そのまま踏み込み再び竹刀を振るう。
(う、まずい)
その無茶な攻撃に突きつけていた竹刀を当てないよう何とか逸らしたものの、自身は体勢が崩れる。そこから当てずに止めることが難しいと悟った紫苑は全力で竹刀を振りぬいた……箒の竹刀をめがけて。
交差した竹刀は互いにへし折れ、力の強さの関係で箒が突き飛ばされる形になり、倒れる。
だが、これでなんとか無傷で終わらせることができた……はずだった。
「ぐっ」
「し、篠ノ之さん……!」
しかし、折れた竹刀の破片が顔を掠めたのか、倒れた箒の頬からは血が流れていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
織斑一夏はこの日も道場を訪れていた。
セシリアとの模擬戦が決定して以降、箒に対してISの指導をお願いしたのだが何故か教えてくれるのは剣道や筋トレなど。未だにISを動かしていない。
この日も千冬に頼まれていたクラスの雑用を終え、先に道場に向かっている箒の元へ向かい鍛錬を行うはずだった。
しかし、目の前には箒と……もう一人、学園の生徒らしき人物いた。銀色の髪に見惚れるほどの容姿とスタイルを兼ね備えた美しい女性。この女性だらけに男一人という環境で、少なからず耐性が出来ていた一夏でさえその姿に目を奪われた。
だが、その場の空気がすぐに一夏を現実に引き戻し、そして驚愕する。
(あの構えは……千冬姉の!?)
その女性が、もう何度も見た彼が尊敬する人物、織斑千冬の構えと酷似していたのだ。そして、その竹刀は幼馴染である箒へと向けられていた。
やがて、二人は交差する。
勝負は一瞬。互いに竹刀は折れたものの、箒が打ち倒された。そして、その頬から血が流れている。
それを見て一夏は頭が真っ白になる。
見知らぬ人間が姉の構えで、姉の剣技を振るい、あまつさえそれが幼馴染を傷つけたのだ。
「箒!」
一夏は倒れる幼馴染の名を叫び、道場へと駆け入った。それを為した女生徒を睨みながら。
こうして紫苑は、図らずも一夏と接触する機会を得る。
しかし、それは彼が望まぬ最悪の形によって。
様々な思いと誤解が交錯する中、世界を揺るがす二人は出会う。
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