Development
第二十二話 すれ違い
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を考えていたら、虚さんが先ほどの本音さんの対応を謝罪してきた。僕は全然気にしてないんだけどね、ほんとに真面目な人だと思う。
「いえ、構わないですよ。どうも今の一年生には避けられてるので、こうして気軽に話しかけていただけるの
は正直嬉しいんです。これから仲良くしてね、本音さん?」
「うん!」
「ありがとうございます、紫音さん。私からも、本音をよろしくお願いします」
僕の言葉に、二人は満面の笑みになった。こうしてみると性格は違えどやはり姉妹なんだなと思える。何はともあれ、高島さんや小鳥遊さんに続いて一年の中にこうして話しかけてくれる人が増えたことに僕は安堵した。
「ところで、避けられてるってかんちゃんのこと?」
「かんちゃん?」
ひっそりと新たな出会いに感動していたらまた見知らぬ単語が出てきて僕は首を傾げる。
「私はね〜、一応かんちゃん付の専属メイドだからいろいろ話聞いたことあるの。しののん先輩のこと、会ったことないけど今はどうしても好きになれそうもないって言ってたよ? 最近はあんまり話せてないからわからないんだけど〜」
……なるほど、簪さんのことか。それにしても、こう直接的な表現されるとさすがに凹むよ?
「本音! ……あの、紫音さん。もうご存知かと思いますが簪様はいろいろと思い悩んでおいでで。私やお嬢様では取りつく島もなく、本音も……。ですが、本来はとても優しいお方なのです。同室である紫音さんにも今は厳しくあたっていますが、きっかけさえあればきっと……」
簪さんの話が出た途端、先ほどまでの笑顔は一転深刻そうな表情になる。それだけ、入学前から周りにも心を閉ざしていたということだろうか。
「えぇ、まるで何かに追われるようでした。幸い、一緒にいる時間はたくさんありますので少しずつわだかまりを解いていきたいと思います。楯無さんにもお願いされてしまいましたしね」
「はい、私からもよろしくお願いします」
そう言って、虚さんは深々と頭を下げてくる。その様子に恐縮してしまう。
「あ、頭をあげてください。先ほどはああ言いましたが、別にお願いされたからという訳ではなく私がそうしたいからなんです」
「はい……ありがとうございます」
「私もお仕事がんばろ〜、最近かんちゃん一人でいること多くてお仕事できなかったし」
簪さんのことを考えているのは一緒なんだろうけど、対極的な二人。きっと楯無さんに対してもそうなんだろうな。布仏家と更識家の関係は以前に聞いていたけど、いざ当人達を見ていると家に縛られているという訳でもなく、自分の意志で生きている。その関係がちょっと羨ましくなった。
僕も、もう西園寺は関係ない。なら、この学園でも自分の意志で行動しようと改めて決意する。
「さぁ、皆さ
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