第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
第7話 凸凹姉妹
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―それに、原作で描写されていた光景を、この目で確かめたいのだ
原作という色眼鏡を通すことで、空想と現実が混同しないだろうか。
架空の登場人物と目の前の人物を切り離して考えられるだろうか。
原作知識に振り回されて現実を軽視しないだろうか。
いろいろと心配の種があるとはいえ、あまり緊張はしていない。
ボクには頼もしい家族がいる。
これから赴く戦場にも、リインフィースという心強い味方がいるのだから。
「ありがとう、シグナム、みんな。さあ、未来に向けての第一歩をいっしょに踏み出そう――――と、いうわけで、今日の晩御飯は何がいい?偽装に気づかれないためにも、いつも通り晩御飯の買い物にいかないとね」
◆
「――ヴィータ姉はどう思う?」
はやてが、あたしに尋ねてくる。眼をみれば、行く気まんまんだということが丸分かりだ。
あいつは、意外と頑固なところがある。
この問いかけも、家族の理解が欲しいからであって、確認に過ぎないのだろう。
だから、あたしは迷わず賛同した。なぜなら――――
「――――これから戦いは厳しくなっていくんだ。いまから怖気づいていたら、後で苦労する羽目になる」
あたしを含むヴォルケンリッターが、はやてと出会ったのは、あいつの誕生日の日付に変わったとき。
……もっと早く駆けつけられなかったのかと、いまだに悔んでいる。
第一印象は、両親を殺され泣きじゃくる年相応のか弱い女の子。
主の身を守り、命令に従うのが守護騎士の役目だから、助けた。
いつものことであり、特別な感情を抱いてはいなかった。
しかし、その後すぐに考えを改めることになる。
嗚咽をこらえながらも、突然現れたあたしたちに、毅然とした態度であいつは接した。
ほどなく駆けつけた魔王とやらには、状況がよくわかっていないあたしたちに代わって、彼女が主導して話を合わせた。
――――前世の記憶やら、原作知識やらのおかげだよ
と、はやては、どこか自嘲しながら謙遜していた。
しかし、年相応に振る舞う姿は、決して演技にはみえなかった。
ここが異世界だとしても、関係ない。
どのような事情があろうと、あたしは「八神はやて」という少女が大好きなのだから。
『ヴィータってお姉ちゃんみたい。ヴィータお姉ちゃんって呼んでもいい?』
当時、9歳になったばかりのはやてと、外見年齢が8歳〜9歳相当のあたしは、背格好が同じくらいだった。
一見すると、姉妹にみえないこともない―――もちろん、姉はあたしだ。
外見年齢が近いからだろうか。
大人びているように見えて、実は、寂しがりで甘えたがりなあいつは、とりわけあたしに懐いていた。
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