第5章 契約
第80話 勝利の後に
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るのですが……。
しかし……。
しかし、先ほどは間違いなく俺を真っ直ぐに見つめてから、かなりテンパった雰囲気ながらも普段よりは強い口調で答えてくれたティターニアが、その俺の質問に対しては視線を在らぬ方向へと彷徨わせ、
「それは、その〜。え〜と、ですね……」
何時も、そうはっきりとした物言いと言う訳ではないティターニアが、今回に関しては更に歯切れの悪く成った口調で、言葉を探すように、しかし、俺に返すべき答えが見つけられない事を感じさせる、言葉に成っていない答えを返して来る。
これは、おそらく俺の一縷の望みを完全に否定する答えと言う事なのでしょう。
見た目や雰囲気が、俺の暮らして居た地球世界の日本でさえも絶滅危惧種として指定されている大和撫子風の彼女ですら、俺のセーラー服コンプレックスを否定してくれないと言う事は……。
その刹那。上空から猛烈な風が吹き下ろされる。もっとも、これは危険な現象ではない。
但し、その風に因って彼女たちの髪の毛が乱され、更に、少し強い目に吹く冷たい風が……。
「話し合いは終わったのかしら」
プリーツスカートの裾を押さえるふたりの黒髪少女と、まったく気にしない紫の髪の毛の少女から視線を外し、上空に視線を移す俺。
ただ、精霊故に、彼女はそんな事に頓着していないのか、と思って居たけど、同じこの世界の精霊王に当たるブリギッドやティターニアが気にする以上、湖の乙女に関してはやや特殊な存在だと言う事なのでしょう。
そして……。
見上げた先に向かい右手を差し出す俺。その差し出された俺の右手を、上方からそっと掴む白い華奢な手。
俺の右手のリードに従い、本当に体重の無い者のような軽やかな動き……。ふわりっと言う形容詞が一番相応しい様で地上に降り立つ蒼い少女。
風を受けた彼女の柔らかな蒼い髪の毛と、魔術師の証の黒のマント。そして、こちらも短いプリーツスカートが微妙に揺れた。
もっとも、彼女の場合も湖の乙女と同じように、そんな細かい事に頓着するような娘ではないのですが。
「私としては、自分の息子が女の子にモテモテなのは多少、鼻が高い側面も有るのだけど、その前に、仕事を終わらせて仕舞いましょう」
タバサに遅れる事数瞬。俺の後ろ側……本当の娘のアリアの隣に降り立ったマジャール侯爵夫人がそう言う。
尚、彼女が降り立った瞬間も、そして、今まで彼女が魔法を行使した際も、精霊が消費される悲鳴が聞こえる事が無かった以上、彼女の行使する魔法も、系統魔法とは違う種類の魔法。このハルケギニア世界では異端に分類される魔法で有る可能性が高いでしょう。
「そんな事を言っても、アーデルハイド」
相手に因って態度を変えないのが精霊の基本形と言う事なの
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