第5章 契約
第80話 勝利の後に
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コロが、彼女の世慣れない、少し幼い雰囲気が強く出る部分なのでしょう。
「自らの義弟を助けに来ない義姉は居ませんよ」
それにしても、貴男と彼女が無事で良かった。そう言って微笑んだアリアの顔は、まるで本当の姉の表情。先ほどまでの少し呆れた雰囲気を発して居た状態を微塵も感じさせる事はなかった。
しかし……。
しかし、こんな場面でも……。いや、こんな場面でも尚、そう言う風に。俺が赤ん坊の頃にマジャール侯爵家に預けられたガリア王国のルイ王子で有るかのように振る舞わなければならない、と言う事なのでしょう。
但し、どう考えても他人を欺くような演技に長けた人間だとは思えないアリアにしては、先ほどの台詞は堂に入った物で、まるで彼女が本当の姉のような気さえして来る雰囲気を持つ台詞で有った事は間違い有りません。
そうして……。
「私だって、しょ、生涯の伴侶と定めた良人が危機に陥って居るのなら、つ、つ、妻として助けに来て当然です!」
何故か、最後に普段の落ち着いた雰囲気とは違う、何と言うか、妙にテンパったと言うか、その他の少女たちに張り合うような雰囲気と言うか、どうにもよく判らない雰囲気で、一番問題の有る内容を口にする妖精女王ティターニア。
う〜む。何と表現すべきか……。見た目が少女に見えるだけに、この一言で彼女の年齢が人間で換算すると二十代だと思っていたのが、実は十代半ばの少女だったのではないだろうか、と思える程のテンパり具合、と言った方が伝わり易いですか。
まして、生涯の伴侶と言うのは何となくニュアンス的には首肯けるのですが、その相手を妻と呼んで良いのか、と問われると、かなり疑問が残るのですが……。
俺と彼女の関係は。
「つ、つ、つ、妻ですって!」
先ほど、湖の乙女が俺に抱き着いた時よりも更に裏返った声で叫ぶ崇拝される者ブリギッド。尚、彼女のテンパり具合を表現するには、妻の『つ』と『ま』の間に微妙な一呼吸ほどの間が空いた事からも窺えると言う物。
「そうです。私と忍さんは、ノートル=ダムの聖堂で死がふたりを分かつまで共に在る事を約束した間柄なんです」
間柄なんです、の部分をかなり強調するような口調で更に言い募るティターニア。
間違いない。彼女は張り合っている。今は主に食い付いて来ているのがブリギッドだけですから、まるで彼女を徴発して居るかのように聞こえて居ますが、おそらくそれには湖の乙女も含んでいると思いますね。
双方。いや三人とも同じようにこの世界の精霊を統べる存在で、更に同じ人間を契約者として選んだのですから、こう成るのも多少は仕方がない面も存在していますか。
それに、彼女
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