第5章 契約
第80話 勝利の後に
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たままの湖の乙女を支え続け……。
「そう。死にたいと、そう言う訳ね」
かなり不満げな雰囲気、及び表情で非常に物騒な台詞を口にするブリギッド。殆んど、俺の言葉など聞く耳も持って居ない状態。そして、その彼女の右手には、何時の間にか彼女の愛刀。毛抜き形蕨手刀が握られている。
「ちょっと待ちなさい、炎の精霊。話も聞かずにいきなり処分をするのは問題あるわ」
そして、同じように呆気に取られたような雰囲気から、少し不機嫌な気を放ち始めたティターニア。
しかし、流石に慈母に等しい彼女はいきなり、武器を手に取ると言う事は有りませんでしたが。
そう考えて、俺の右横から、正面の方……。つまり、湖の乙女の斜め後ろに移動して来たティターニアに視線を移す俺。
其処には……。
「取り敢えず、申し開きは聞いて上げるべきでしょう」
優しい。……と言うには妙に引きつった笑顔を俺に向け、そう言う台詞を口にする妖精女王ティターニア。
いや、今の彼女も十分、失調状態と言うべきですか。
何故ならば、普段の彼女はやや伏し目がちに俺を見つめる事の方が多いですから。
しかし、何故か今は、真っ直ぐに俺の変わって仕舞った両方の瞳を覗き込んで居ます。
まるで、湖の乙女やタバサのようにね。
「申し開きも何も、これは彼女。……湖の乙女が俺に治癒魔法を施してくれているだけ。彼女はこうやって、自らの霊力の塊。水の秘薬を直接俺の身体に送り込んで素早く傷を回復させる事が出来るんや」
何にしても、問答無用で処分されないだけマシですか。そう考えながら、妙に気色ばんだ二人と、その二人の剣幕にやや圧倒されたような、かなり呆れたような様子のアリアに対して、俺の知って居る水の精霊とは系譜が違う彼女の、かなり特殊な治癒魔法の説明を行う。
もっとも、この湖の乙女の治癒魔法に関しては、少し不審な点も存在して居るのですが。
何故ならば、彼女。湖の乙女は俺の知って居る符術も行使出来ます。そして、当然、符術の中にも霊符を使用して治癒させる術も有ると思うのですが……。
ただ、彼女が今までに行使した治癒魔法はコレだけ。故に、もしかすると本当にこの方法しか治癒魔法を知らない可能性もゼロでは有りませんか。
「だからと言って、そんなにくっ付く必要なんてないじゃないの。さっさと離れなさいよ!」
そもそも、その程度の怪我なんてほっとけば治るわよ、と、かなりムチャクチャな台詞をブリギッドが発した瞬間、俺の右肩から、左の脇の下に向かって廻されていた湖の乙女の両腕から力が抜け、左の首筋に感じて居た甘く噛まれているくすぐったいような感覚と、そして、首筋の柔らかい部分に感じて居た彼女の吐息が感じられなくなった。
そして、湖の乙女が身体を離したのとほ
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