第5章 契約
第80話 勝利の後に
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所は、もっと温かい南方の植生に当たる落葉広葉樹の森が広がっていた場所だったのですが、あの夜を境に気温が一変。本来、この辺り……。高緯度地域の、更に山間部に相応しい気温へと一気に移行していたのです。
既に、火竜山脈と呼ばれる山々の頂きは白い冠を戴き、これから先、これまでは存在して居なかった氷河と言うモノが形成されて行く事となるのでしょう。
地球世界のアルプスのように。
推測でしかないのですが、この火竜山脈と呼ばれる山脈周辺が異常に気温が高かった最大の理由は、火山に因る地熱の作用でもなければ、ファンタジー世界故に、物理や科学の向こう側の現象が起きて居たと言う訳でもなく、この土地が生きて居る炎クトゥグアの召喚に適した場所で、炎もたらすモノが封じられて居た場所だったと言う事と関係が有ったのだと思いますね。
僅かな余韻と共に笛を吹き終わる俺とタバサ。
そして、それの少し前に、見事な重なりを示していたふたりの歌声も終幕を迎えて居た。
そして、その俺たちの周囲には……。
真っ直ぐに天に伸びるような太い幹を持つ針葉樹の森。まるで、千年も前からこの状況で有ったかのような、鬱蒼とした太古の森に等しい森が形成されて居たのでした。
寒さと、同じ姿勢を続けた事に因り固まって仕舞った身体を、おもいっきり蒼穹に手を伸ばす事に因りほぐす俺。
その俺を、三種類、都合六つの瞳が見つめる。
「これで半分ぐらいの森の置き換えが出来たと言う事かな」
三人の中で一番背の高い少女、ティターニアに向かってそう話し掛けた。それに、この地の状況の把握は大地の精霊を束ねる彼女に聞く事が一番ですから。
俺の問いに対して、普段通りのやや伏し目がちな瞳ながらも首肯き、
「後は、徐々に寒冷地に育つ植物に置き換えて行けば、自然や人間の暮らしに大きな影響を与える事はないと思います」
……と、答えてくれるティターニア。
その彼女。いや、ティターニアも含めたタバサ、湖の乙女の出で立ちはと言うと、
白い絹製、襟や袖口に細かなレースをあしらった清楚なブラウス。その上に、黒を基調に赤や青の綺麗な格子模様の入った、前を胸の下の部分から紐で締めるタイプのボディスと呼ばれる袖なしの胴衣。
そして、スカートはシックな花柄の刺繍の入った膝丈のスカート。
まるで童話の国の少女のような服装。所謂、チロリアンファッションとか、ディアンドルとか呼ばれる服装に似たファッション。
ただ、完全に胸……バストの下の部分から紐で締めている為に、その紐の上に胸の部分が乗っかるような形と成って仕舞い、ティターニアがこの衣装を着ると妙に色っぽい雰囲気となるのですが。
そして、タバサや湖の乙女のふたりはふたりで、その幻想世界の住人に相応しい髪
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