第三章
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引き込むつもりだった。
何だかんだと言ってワゴンの中に入れた。半ば押し込む形で発進すると山の奥に入った。自衛隊も来ないような場所だ。久留米は中途半端に都会なのでこんな場所もあるのだ。
「おい」
まずは僕がすごんでみせた。
「御前俺達のグループに入れ」
「えっ!?」
こいつはそれを聞いて思わず驚きの声をあげた。
「そっちのグループにですか」
「そうだ」
リーダーもすごんでいた。
「今俺達ドラム探していてな。だから入れよ」
「けど俺今自分のバンドに入ってますし。入れませんよ」
「そんなの関係ねえんだよ。御前は俺達のバンドに入るしかないんだからな」
「そんな勝手な」
当然と言えば当然だがそれを拒否してきた。
「それじゃあ引き抜きじゃないですか」
「そうだよ、引き抜きだよ」
リーダーは悪びれずにこう答えた。
「御前の腕を見込んで言ってるんだ。来いよ」
「けどそんな」
「嫌だってのかよ」
髭も入ってきた。こういう時にこうした一見怖い顔が役に立つ。
「それだったらこっちにも考えがあるんだけれどな」
「考え」
「おうよ。御前ここが何処だかわかってるんだろうな」
辺りを親指で指しながら言った。
「山の中だよな。もし断ればどうなるかわかってるだろうな」
「まさか」
「そのまさかだ。なあ」
「ああ」
「道具も持って来てるしな」
ここで僕とリーダーがスコップとロープを取り出してきた。
「入ればいいんだよ。けどな」
「断った時は・・・・・・。わかってるだろうな」
「山に埋めてやるぞ」
三人でこうすごんでやった。すると顔が真っ青になった。その時の顔は今でも覚えている。
「わ、わかりましたよ」
あいつは震える声でこう答えた。
「入りますよ、入ればいいんでしょ」
「やっとわかったか」
「ドラムですよね、じゃあそれでいいですから」
「おう」
「わかってくれて嬉しいぜ。それじゃあ御前は今日からうちのメンバーだ。いいな」
「はい」
こうしてこいつもメンバーにまった。これでやっと僕達のバンドが完成した。
それから色々なコンテストに参加したがどれも大成功だった。そして僕達のところに遂に会社から話がやって来た。契約して欲しいというものだった。
僕はそれを聞いた時思わず飛び上がりそうになった。待ちに待っていたメジャーデビューだから当然だった。しかしここで問題があった。
「あの二人どうする?」
僕とリーダー、髭、ノッポはもう高校は卒業していた。ノッポは大学に進学し、僕達は働いていた。丁度白も高校を卒業し大学に進んでいた。けれど弟とドラムはまだ高校生だったのだ。
「あいつ等も一緒じゃないとまずいだろ」
「そうだな」
「東京の学校に行かせるってのはどうだ?」
僕達年長組四人
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