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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第230話】
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もんね? 優しさが人を傷付ける事ももちろんあるけど、その優しさでヒルトは三人の心を救ったんじゃないかな……?」


 そう俺に伝えながら、夜空に上がっていく花火を見上げる未来。

 さっきまでの単発とは違い、今は連発式なのか、絶え間なく彩り鮮やかな花火が空に咲き、辺り一帯を照らしていた。


「……優しさ、か……」


 そんな呟きも、花火の打ち上がる音にかき消されて虚空の彼方へと消えていく……。

 暫く、俺も未来も黙ったまま花火を鑑賞していると未来が口を開く。


「んと、さっきの話だけど……ヒルト、あまり思い詰めないでね?」

「……そうしたいが、なかなかな……」

「うーん。 ……まあいきなりは難しいよね? ……ヒルト、帰ろう?」

「……まだ、花火は上がってるぞ?」

「元々帰るつもりだったじゃない♪ 寂しさも紛らわせたし……ふふ、何なら夏の幼なじみとの思い出にキスする?」


 茶目っ気たっぷりにウインクする未来は、言ってて恥ずかしかったのか花火で照らされたその表情は赤く染まっていた。


「……そうだな。 夏の思い出にキスも悪くないかも……何てな。 無理するなよ未来。 顔が真っ赤だぞ?」

「……そういうヒルトだって、顔が真っ赤だよ?」


 互いに指摘し合うと、何だか二人して可笑しくなり、笑い声が河川敷一帯を包んだ。


「はははっ、俺も未来も、同じ様に赤くなったな♪」

「ふふっ、そうね♪ ……ヒルト、帰ろう」

「……そうだな。 ……キス、しないのか?」

「ふぇ? ……ふふ、したくないって言えば嘘になるよ? でも、ここだと目立っちゃうから……なんてね♪」


 そう言って立ち上がると、また未来は俺の手を引き、河川敷の階段を登っていく。

 夏の夜空を覆う満開の花を背に、俺と未来はまた、自宅への帰路へとついていった――。

 ……結局、キスはしなかったが……何だか、俺自身がキスするのを楽しみにしてる気がする……。
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