第二章
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っていた。古い喫茶店だった。ただ同然で場所を借りてそこで練習させてもらっていた。マスターが音楽好きなのでそれに甘えているのだ。
「で、こいつが前言ってた新らしいメンバーだ」
リーダーがまず僕達に紹介する。僕以外ははじめて見るからだ。
「御前はもう会っているけどな」
「まあな」
リーダーが話を振ってくるとそれに頷いた。
「宜しくな。ベースならやれるぜ」
「早速弾いてくれるか」
「ああ、いいぜ」
ベースを取り出して弾きはじめた。それは予想以上のものだった。これならいけると思った。
「どうだい?」
「いや、これは・・・・・・」
「駄目なのか?」
「まさか。その逆さ」
僕は笑顔でそう答えた。
「凄いじゃねえか。こんなにうまいベースそうそういないぜ」
「昔からやってたからな」
その細長い顔を照れ隠しで崩しながら応えた。
「大したことじゃねえよ」
「いや、それだけの腕があれば十分だぜ」
リーダーも言った。
「そうか、ならいいけどな」
何はともあれベースが決まった。だがここで一つ問題があった。
「おう」
僕は弟に声をかけた。
「御前今日からサックスだ。いいな」
「サックスかあ」
弟はそれを聞いて不安そうだった。
「俺やったことないけど」
「何、誰だって最初はそうじゃねえか」
そう言って弟を慰めた。
「大丈夫だって。練習させすればな」
「だといいけど」
「まあ何処でも練習すればいいさ。頑張れよ」
リーダーもそう言った。
「サックスがいるバンドなんてそうそうないからな。御前はうちのキーマンなんだぜ」
「キーマン」
「そうさ。女の子がキャーキャー言うサックスになってくれよ。そうしたら人気も上がるからな」
「頼むぜ、キーマン」
「うん」
まだ不安そうだったが頷いた。
「じゃあやってみる」
「よし」
「それでこそ俺の弟だ」
おだてて何とかやる気にさせた。けれどそれでも不安だった。こいつが飽きてまたベースをやりたいとか言い出すんじゃないかと思っていた。そうなったら厄介なことになると思っていた。ベースはどう考えてもこの背の高い奴の方がいい。勝てるレベルじゃない。それでも言うのなら殴ってでも止めるつもりだった。
けれどそれは杞憂だった。弟は素直にサックスの練習に集中してくれた。暇があると吹いて、時にはトイレの中で練習していた。その介あってか最初はぎこちなかったサックスもあっという間に上手くなっていた。演奏のレベルが全体的にあがってきたのがわかった。けれどまだ足りないものがあった。
「ドラムだよな」
リーダーがメンバーを集めて言った。
「これがいないとどうしようもない」
「誰かいるかな」
「そうだな」
リーダーは僕達の言葉に顔を苦くさせた。
「こればっかり
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