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時のK−City
第二章
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かった。むしろ他所から来た自衛隊の人達にここの先輩後輩の関係について驚かれる程だった。
 あいつは渋々呼ばれた場所に来たらしい。ヤキを入れられると思っていたと後で言っていた。
「俺あの人には何もしてないよ」
 始終そう言っていたと弟から聞いた。
「何かあったらとりなしてくれよ」
「わかってますって」
 弟に案内されて呼ばれた場所に向かった。僕はその時そこでリーダーと髭と三人で煙草を吸いながら話をしていた。
「あいつ来ると思うか?」
 髭が僕に尋ねてきた。
「絶対来るって。うちの高校の先輩後輩の厳しさ知ってるよな」
「まあな」
「先輩の言うことは絶対なんだよ。だから何があっても来るって」
「だといいけれどな」
 そこはある店の裏だった。僕達は立ったり座り込んだりしながらだべるようにして話をしていた。空き缶が灰皿替わりだった。
「けど若し来なかったらどうするんだ?」
 今度はリーダーが僕に尋ねてきた。
「その時はマジでヤキ入れかな」
 僕は何も考えなしにそう言った。
「それしかないだろ」
「厳しいな、御前のところは」
「それが普通だろ」
 九州ではそれが普通だとかなり自分勝手に思っていた。
「そうじゃないのか」
「まあそうだけれどな」
 二人はそれに頷いた。
「断ることは許さないってわけかよ」
「それだけあいつの力が必要なんだよ」
 僕とリーダーは同時にそう言った。
「一番のバンドを作る為にな」
「そうか」
「そうさ。あ、そうだ」
 ここで僕はふと思い出した。
「おい、あいつはどうなった」
 リーダーにもう一人のことを尋ねた。
「もう一人のヴォーカル」
「ちょっと変更があった」
「変更?」
「ああ。話したんだけれどな。別のバンドにいるからって断られた」
「じゃあこの話はなしかよ」
「話は最後まで聞けよ。そのバンドもこの前解散したんだ」
「へえ」
「それはまた」
「それでな。また誘ったら入るって言ってくれたよ。けどな」
「けどな。何だ」
「もうヴォーカルをする気はないそうだ。楽器やりたいって言ってるよ」
「楽器か」
「今ドラムが空いてたな」
「ドラムじゃなくてな、ベースをしたいらしい」
「ベース」
「俺の弟がもういるぜ」
「だからだ。今考えてるんだ」
 リーダーは真摯な顔でそう言った。
「どうしたらいいかな」
「とりあえう弟とそいつのベースを聴いてからだな。それでいいだろ」
「そうするか。で、負けた方はどうするんだ?」
「替わりに何か楽器やらせるか。サックスか何かで」
「どうしてそこでサックスなんだよ」 
 リーダーは髭の言葉を聞いて思わず吹き出した。
「いや、何となるな。アメリカンチックに」
「うちはジャズじゃねえぞ」
「いや、案外いいんじゃね
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