反董卓の章
第18話 『お兄ちゃん、負けないで』
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―― 曹操 side 虎牢関 ――
逃げ惑い、こちらの陣へと逃げてくる袁術軍の兵たち。
まったく……本当に調練がなってないわ。
金色の鎧を重たそうにしながら逃げてくる姿は、まるで新兵。
数だけの様体は、まさしく麗羽の親戚ね。
「敵の騎馬兵、来ます!」
前面に薄皮のように配置した兵から声が上がる。
前方の袁術軍を追い立てるように、董卓軍の騎馬兵がこちらへと向かってくる。
……さて、それじゃあ予定通り。
「混乱した様子に見せて前を開けなさい。あと、逃げてくる袁術兵は邪魔するなら斬っていいわ」
「ハッ!」
同士討ちしている様子を見れば、こちらの混乱が擬態とは思わないはず。
案の定、敵はこちらが混乱したと見て、部隊を動かし始める。
あそこで槍を振るっているのが張遼かしら……
(張遼は御遣いと親交も厚かったはず。ならば、御遣いの情報が得られるかもしれない)
……殺すより、捕らえたほうが良さそうね。
それも驍将と言われるぐらいなら……配下に欲しいわね。
その張遼がこちらに槍を向ける。
指示が出たのか、周囲の騎馬兵達がこちらに向かって押し寄せる。
そう――私を殺すために。
(ふふ……私を囮にしようだなんて。春蘭が随分怒っていたけどね。それを言う関羽の豪胆もなかなかだわ)
そしてこれを考えた御遣い――
私は、この作戦が本当にそれだけの効果があるのか試したかった。
それが関羽の作戦を是とした本当の理由。
(時間がないからと無理やり強要させたけど、あとで秋蘭や桂花に声をかけないとダメでしょうね)
そんなことを思って、思わず笑みが出てしまう。
すでに敵は目の前。
あと二十も数えれば眼前に迫ろう距離。
私は、その手をサッと上げた。
それは合図。
ジャーン、ジャーン、ジャーンッ!
その合図とともに、銅鑼の音が響き渡る。
「今よ! 春蘭! 関羽!」
「「 応ッ! 」」
二人の声が同時に聞こえ、部隊の後ろに構えていたそれぞれの部隊が左右に分かれ、双頭の蛇のように敵の騎馬隊先端へと同時に襲いかかる。
「なっ!?」
敵の騎馬兵は、左右から同時に襲ってくる春蘭と関羽の部隊に戸惑い――
「ぐあっ!」
「ギャッ!」
「ガボガボガボ!」
ある者は、槍で馬ごと足を突かれ。
ある者は、槍に叩き伏せられ。
ある者は、喉元に矛先を突き立てられて、血の泡を吐き出す。
敵の騎馬兵は、左右からくる二方向からの攻撃に戸惑い、防御も出来ず、打ち倒され、あるいは落馬し、殺されていく。
「敵の動きが止まった。秋蘭!」
「ハッ! 今
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