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時のK−City
第一章
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もな」
 実は一人だけでも日本で一番になれる自信はあった。歌も踊りもそこいらの奴等どころかテレビに出ている連中にも負ける気はしなかった。そうでなくてヴォーカルなんてやれる筈もない。実際に今までやっていたバンドは僕が中心になってやっていた。そうした自負があった。もっとも向こうのバンドではこいつがそうだったけれど。
「俺と御前が組んだらそれだけで久留米は手に入る」
「二人だけでか」
「勿論他にもメンバーは必要さ。けれどまずは二人だ」
「二人か」
「二人じゃバンドは無理だからな。ユニットならいいが」
「じゃあ俺がヴォーカルで御前がギターだな」
「ああ。それでいいか」
「おい、まだやるって言ったわけじゃねえぞ」
 そう言いはしたが段々乗り気になってきた。
「それじゃまだ何もできないだろうが」
「それはわかってるよ。それでだ」
「何だ?」
「御前の弟いるよな」
「ああ、あいつか」
 実は僕の弟も音楽をやっている。ギターも弾ける。作曲もそのうちできるようになるだろう。
「あいつも入れたいと思ってるんだけれどな」
「あいつをか」
「そうだ。どう思う?」
「それはあいつと話をしてくれ。俺は知らないぜ」
 ここは突き放すことにした。まずはこいつが何処までやる気なのかも見たくなったからだ。若し本気なら弟も当然誘うだろうと思ったからだ。そう思いながら顔を見た。
「どうなんだ?」
「わかった。じゃあ話をしてみるよ」
「いいんだな」
「今はメンバーを集めなくちゃいけないからな。とりあえず音楽が出来る奴が欲しい」
「じゃあ言ってみな。うんと言うかどうかはわからねえがな」
「ああ」
「只今」
「おっ」
「噂をすれば」
 話をしているとそこに帰って来た。丁度いいタイミングだと思った。
「ん、兄貴いるのか?」
「ああ」
 居間に入って来た。そして挨拶をした。
「来てたんですね」
「おう、暫く」
 煙草を手に持って弟に挨拶をした。知り合いかと思ったが僕が今こいつと話をしているのは弟の紹介からだった。忘れていた。
「で、どうなったんですか?結成ですか?」
 弟は差し出された煙草を受け取りながら座り込んだ。その差し出された煙草を吸いながら話に入って来た。
「あんた音楽やるよな」
 弟にも話を振ってきた。
「はい。ギター弾けますけど」
「ギターか」
 それを聞いて考え込んでいた。
「俺もギターだしな」
「じゃあベースやりゃいいじゃねえか」
 ここで僕がこう言った。
「あまり違いはないしよ。それでどうだ」
「ベースかあ」
 弟はそれを聞いてキョトンとした。
「どうだ?弾けないわけじゃねえだろ」
「まあね」
「じゃあそれでいくか。いいか、それで」
「はい」
 言われてそれに頷いていた。それを見て
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