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時のK−City
第一章
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同じくツッパリみたいだがそんなのはバンドをやっていれば常識だった。
「よう」
「ああ」
 僕達は玄関で挨拶をした。僕は多分その時憮然としていただろう。
「話はそっちの弟さんから聞いてるよな」
「まあな」
 見れば本当にあまり背は高くない。僕より少し高い位だ。ステージではでかく見えたのは気のせいだったのか僕が自分の背を気にし過ぎだったのか。昔から背のことでは色々と言われている。悔しいが背のことでは弟にまで負けている。
「話長くなるからよ。あがっていいか」
「ああ」
 言われるまま家にあげた。とりあえず居間で話すことにした。ちゃぶ台を囲んでガラの悪い者同士話すことになった。女もいない、むさくるしい話になると思った。喧嘩も覚悟していた。
「吸うか」
「ああ」
 僕に煙草を一本進めてきた。それを受け取り火を点ける。それから話に入った。
「バンドのことだけどな」
「そっちも解散したらしいな」
「それも聞いてるのかよ」
「この街じゃもう皆知ってるぜ。俺の方も解散したしな」
「ああ、それは知ってる」
 こいつはそれを聞いて納得したように頷いた。
「お互い今はフリーだな。それでここに来たんだ」
「新しいグループを結成する為にか?」
「ああ。俺がギターで御前がヴォーカルだ。どうだ」
「冗談だろ」
 そう言ってやるつもりだった。そして言ってやった。
「御前と俺がかよ。どうやってそんなことが言えるんだよ」
「何か悪いか?」
「悪いも何も今まで俺と御前はライバルみたいなもんだったろうが」
「俺は別にそう思っちゃいないけどな」
「御前はそうでも俺は違うんだよ」
 僕はまた言った。
「何つうかよ」
「言いたいことはわかってるさ」
 だがこいつはあえてこう言った。
「俺のバンドと御前のバンドは今までいがみあってきたからな」
「ああ」
「今日話をしてそのまますんなりなんていかねえだろ。それは俺もわかってるさ」
「じゃあ何でここに来たんだよ」
 どのみちあまり話をする気はなかった。こう言ってやった。
「それでも御前の力が必要だからだよ」
「俺の?」
「そうさ。俺のバンドだけじゃ久留米はとれなかった」
「ああ」
「御前のバンドだけでもな。だから二つに分かれていたんだ」
「何かそう言うと族みたいだな」
「喧嘩はしねえがまあ似たところはあるかもな」
 煙を吐きながらそう言った。
「細かいところはよく言えないが」
「で、久留米を取るつもりか」
「久留米だけじゃない」
 その時あいつの目が光ったのを今でも覚えている。その目を見た時で僕の運命は決まっていたのかもしれない。今ではそう思う。
「日本をだ。日本で一番のバンドになってみないか」
「俺と御前でか」
「そうさ。俺だけ、お前だけじゃ駄目だ」
「か
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