暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode20:十字の道化師
[3/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を隠しながら、十字の道化師(クロスズ・ピエロ)の根城を観察する。

「…なにかの研究所、かな?」

かなり広大な土地の八割を占めるこの苔むした建物は、数十年前までは魔法師の改造を目的に作られたものだった。だが、その非人道的な研究は十師族の勅命により凍結。研究所だけがそのままの形で残っている状態であった。どうやら放棄されてから数十年。この建物はなんの手も加わっておらず、コンクリート製の壁には蔦や雑草が群生していた。
十字の道化師(クロスズ・ピエロ)といった違法組織が、身を隠すには最適な場所だ。

「…屋上にヘリコプターね、先に潰しておこうか」

三階建の研究所の屋上には、十字の道化師(クロスズ・ピエロ)が保有していると思われるヘリコプターがあった。
先ほどのようにヘリコプターで逃げられてしまうと厄介になると判断した隼人は、ワイヤーを伸ばし屋上の手摺に縛り付けた。そしてそのままリールを巻いて屋上へ到達する。

「…壊す前に内部の様子を見ておこう」

屋上から研究所全体を見下ろすように、隼人は世界の心眼(ユニバース・アイズ)を発動した。
目が眩むほどの光量に顔を顰めながら、研究所内部をくまなく見回していく。いつもセーブしている能力をフルに使って、内部の情報を全て頭の中にインプットとしていく。やがてその視線が、ある一つの部屋で止まった。

「サイオンが妙に静まってる。眠らされてるのか…なら、可能性は高いね」

そこは研究所の中でも一番奥と言える場所だった。二階の、廊下の突き当たりの部屋から更に奥に行った、恐らくは隠し部屋となっている部屋だというのは容易に想像できた。

「さて…敢えて派手に行こうか」

そして、隼人がヘリコプターに触れたときだった。

「ん、人?」

不意に電動二輪を止めた茂みの辺りに人の気配を感じた隼人は、一度ヘリコプターから手を離してその場にしゃがみ込んだ。
そのまま気配の正体を探ろうと茂みに目を向けて、思い切り脱力してしまう。そしてゴソゴソとポケットを漁って取り出したのは、ほのかの端末だった。立ち上げてみてメール送信履歴を見ると、溜息をついて体を起こす。そのまま一気に茂みの手前まで飛んだ。着地して、身構えている二人組に一言。

「やあ達也、深雪さん。こんなところでなにしてるんだい?」




















深雪に、ほのかの端末を介して十字の道化師(クロスズ・ピエロ)からのメールが届いたのは、風呂から上がった直後だった。
驚きと焦りに突き動かされ、下着姿のまま達也の部屋へ突撃しようとしたのだが、扉に手をかけたところで我に返り、急いで寝間着を着て扉をノック。奥から「いいよ」という声が聞こえてきて勢いよくド
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ