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人形の姫と高校生の鬼
今ある日常-1-
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「それにしても、葉賀音先生ったら何で腕怪我してたんだろうね〜?」

教室で机の奪い合いを演じていた葉山は葉賀音先生の腕に包帯が巻かれているのを見たらしい。

「おおかた目に付いたヤンキーに片っ端から教育的指導でもしてんじゃね?ピッタリだ」

「そして磨いた拳を常時居眠りの問題児に振り下ろす、と。愛を感じるねぇ」

「バカ言うなよ・・・・・・」

学校も終わり俺は葉山藍(あい)、そしてクラスメイトの宮島健(みやじまたける)と3人で下校している。俺達3人は小学校の時からの付き合いであり、学校が終わる度に集まりこうして一緒に過ごす事が多かった。

「それにしても一鬼(いつき)、お前最近あまりにも寝すぎじゃないか?」

「・・・・・・そうなんだよぁ。まじであの教師から睡眠誘導波が出てるのかもしれん」

「もうっ!そんな事言わないの!葉賀音先生きっと気にしてると思うよ!」

「気にする訳ないだろうが。・・・・・・内容は覚えては無いんだけどさ、よく居眠りする様になってからセットで変な夢を見るんだよなぁ」

西日が眩しい、思わず日差しを遮る様に手をかざす。

「なーんか、結構シリアスと言うかその・・・・・・グロい系って言うのかな。和風ホラーな感じでさ、最後の最後の『これがオチだ』みたいな所でいっつも目が覚めるんだよ」

「ホラー好きだっけお前?」

「・・・・・・大嫌いだよチクショウ」

「私大好き!」

「へいへい。スプラッタ、ゴシック、ダークファンタジーなんでもござれの葉山センセーまじかっけー」

「もう・・・・・・面白いのにぃ・・・・・・」

葉山が足元の小石を蹴飛ばした。何だ?不貞腐れたのか?チラリと葉山の顔を伺ってみる。よくは見えなかったがどうやら今の俺の一言が微妙に堪えたのか俯いたまま道を歩いている。・・・・・・ちょっと言い過ぎたか?

「・・・・・・ホラーコメディなら一鬼も見れるかな、今度DVDを部屋に投げ込んで・・・・・・いやいっその事プレイヤーに仕込んでおけば」

そんな事なかった。

「あ、悪い一鬼」

「何?一鬼ってばまたイタズラでもしたの?」

「そういう意味じゃねーだろ!!」

あはは、と楽しそうに笑う葉山。くそ、さっきの仕返しのつもりか・・・・・・?

「ちょっとこれから用事あるんだわ。先帰っててくれ」

「おう、わかった。・・・・・・何だ?デートか?」

「えぇ!?タケ君、もしかして・・・・・・彼女出来たの!?」

「あぁ、藍ちゃんにはまだ話してなかったっけ。うん、ちょっと前にね」

「おぉ〜・・・・・・タケ君がねぇ・・・・・・
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