第六十七話 人相その十三
[8]前話 [2]次話
「法律の番人ですよ」
「裁判官や検事と同じくな」
「はい、法律じゃないです」
番人はあくまで番人だ、それそのものではないというのだ。
「俺達が何故正義かっていいますと」
「法律の番人だからだな」
「法律が世の中の秩序を形成するからです」
「例え悪法でもな」
「悪法も法ですよ」
だから絶対に守らなければならないというのだ、悪法ならば選挙でそれを否定する政治家を選び彼が所属している政党を与党にして悪法を訂正させればいい、民主国家ではそうなる。
「けれどそうした奴っていうのは」
「自分に都合の法律は他人に強制するな」
「自分は法律を守らないですね」
「しかも全くな」
「ええ、見事なまでにそうした奴はどいつもこいつもそうです」
「それこそがだ」
工藤は険しい目になった、そのうえで言った。
「邪悪だ」
「吐き気を催す位のですね」
「そうした悪だ」
「ですね、反吐が出ますよ」
「世の中そうした悪がある」
絶対の正義がない様に絶対の悪もない、しかしそうした邪悪、即ち吐き気を催す類の邪悪はあるというのだ。
その話をしてそしてだった、工藤はこうも言った。
「剣士の中にそうした輩はいない」
「はい、いませんね」
「それは何よりだな」
「大抵の人間がこの戦いは間違っていると考えていますね」
「これは大きいことだ」
こう言うのだった。
「間違っていると考えていればな」
「変えていくことが可能ですから」
「これで正しいことをしていると思っているのならどうしようもない」
これまで話してきた輩共の様ならばというのだ。
「最早な」
「戦いを止める為にですね」
「消していた」
工藤はそうした輩が剣士にいた場合どうしていたかを高橋に対して答えた、まさにそうしていたというのだ。
「どうにもならないからな」
「消すしかですね」
「病に手遅れがある様に人格にも手遅れがある」
「そうした奴は本当にですね」
「死刑にするしかない犯罪者もいるな」
「いますよ、何人も楽しみで殺した奴とか」
こうした輩がいるのも世の中だ、サイコパスという人格破綻者の類だがこうしたやからも存在しているのだ。
「それこそ死刑囚用の刑務所には」
「何人もいるな」
「いますよ、無実だろうって人もいるかも知れませんけれど」
冤罪、高橋はこの可能性も否定しない。
「それでもです」
「大抵の奴はだな」
「正直この世にいてはいけない奴ばかりですね」
顔を顰めさせての言葉だ。
「あそこにいるのは」
「見たことがあるのか」
「ええ、研修で」
刑務所への研修があったというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ