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久遠の神話
第六十七話 人相その十
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「その後はどうするかだな」
「どうされますか?」
「特に考えていない」
 そうだというのだ。
「自衛隊以外に何か向いている仕事があればいいな」
「そうですね、警備員とかは」
「そうした仕事か」
「ガードマンですかね」
 警備員というよりはというのだ。
「工藤さんはそうした身体を使う仕事が向いてますかね」
「そうか」
「まあその時までじっくり考えればいいんじゃないですか?」
 定年まで生きていてその時までだというのだ。
「そうすればどうでしょうか」
「今すぐ決断を出しても」
 工藤も高橋の言葉を聞いて考える顔になった、そして言うことは。
「その時までに変わるか」
「二十年以上ありますからね」
「だからだな、変わるな」
「それだけの時間があれば」
 それでだというのだ。
「随分変わるな」
「そうですよ、変わりますよ」
「それならか」
 工藤の思索はさらに深くなる、それでこうも言った。
「今は決断を下すことはないか」
「そう思いますよ」
「わかった、それではな」
「今は戦いのこともありますしね」
「それが第一だな、それでその戦いだが」
 工藤は話を変えて来た、今度はその話だった。
「銀月さんについてどう思う」
「あの人ですか」
「そうだ、アルテミスとわかったがな」
「そういえば前から色々と普通の人じゃないところがありましたね」
 高橋は己の靴を磨きながら述べた、そのうえで黒光りになり綺麗になったその靴をも見る。
「そういえば」
「そうだな、今思うとな」
「女神だったなんて」
「だが女神といってもな」
 それでもだとだ、ここでこう言った工藤だった。
「あまりな」
「神様の力はですね」
「それはないな」
 こう言ったのである。
「どうもな」
「神様って万能じゃないんですね」
「その様だな」
「俺神様は何でも出来るって思ってました」
「俺もだ」
 これは二人共だった、彼等は神は全知全能の存在だと考えていたのだ。
 だがそれがだったのだ。
「確かにかなり長い間生きているがな」
「それでもですね」
「女神も変わらないのか」
「力は限られているんでしょうか」
「そうかも知れないな」
「ひょっとしてそれで」
 高橋は磨く手を一旦止めて靴をまじまじとチェックしながら述べた、
「あれなんですかね」
「これまで戦いを止められなかったか」
「そうじゃないですかね」
「そうかもな、ひょっとしたらな」
「この辺り俺はあまり学がないんで」
「俺もだ」
 また二人で話す、このことも。
「高校を出てすぐ入隊だからな」
「そうしたことは知らないですね」
「同期で大卒の人も多かったが」
「そうした人なら知ってますかね」
「そうかも知れない、曹候補学生は学識のある
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