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四章
戦闘
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前から来てるのに。
『ピンク!前だ!』
「へっ?」
「爆ぜし焔!ファイアーボール!」
ドッ!
掌で何かが閃いた。
赤い光が直進して青い奴に直撃すると、綺麗に吹き飛んで崖に落ちて行った。
『中々出来るな、緑』
「ほんと?」
『嘘を言う理由ねぇだろ』
「そっか」
「あ、あのっ!」
『ん?なんだ』
テンパってカノンノが声を張る。
言われた側の少年は自然に、特に何か驚くこともなく答える。何処と無く言葉も私に対してより柔らかい。
みたところ彼も武器は特に持っていないようだ。
やっぱり、魔法だけでここまで来たのかな?
向こう側って上だよね?
すごいなー。私よりもずっと上に行ってたってことだよね?
魔法だけで。
かっこいい。
「あなたは、その…」
『何者かって?』
「えっ、あの…。武器、持ってないみたいだし」
『魔法があればどうとでもなるさ』
「すごい…!ここから上に行ったら魔物も強くなるのに!霧も濃くなって危ないのに」
『まぁ確かに霧も濃かったな…。あぁところで、下山したいんだが道案内を頼めるか?』
「はいっ!」
『…なんで敬語なんだ?』
苦笑して彼が言うと、カノンノは少し頬を染めた。
普通でいいよ、と彼が言うとカノンノも笑ってうんと答えた。
この二人はなんだか、初めてじゃないみたいだな。会話は初めましてみたいなのに。
私は蚊帳の外に行っちゃったみたい。
「二人は初めましてなの?」
『あぁ。間違いなくな』
「あっ、名前…」
『良かったら聞かせてくれ』
「わたしはカノンノ?グラスバレー。この子は…」
「イーリス」
『グラスバレーにイーリスか…。覚えた。俺はディオン?グラドラム』
「ディオン」
「よろしく!えっとところでなんで私のことはファミリーネームで呼ぶの?」
『何と無く、だよ』
「そう、なんだ…。えっとぉ、こっちだよ、麓への道は」
『おぉ、助かる』
カノンノの案内で、私達は麓を目指した。
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