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四章
戦闘
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「カノンノ。アレ、なに?」
「えっ?」
青いボールみたいなのがぽんぽん跳ねてる。
可愛い。
けど、カノンノはそれ見ると大きな剣を構えた。
「あれはね、オタオタっていう魔物。敵なんだよ。わたしたち人間を襲うの」
「そうなの?」
「うん。イーリスは後ろにいて。わたしが倒すから」
照りつける光がカノンノの構える剣の刃をぎらりと輝かせる。
微かに閃いた彼女の瞳がオタオタという動物を見据えると、走り出す。
桃色の風が駆ける。
迸る剣閃が空気を刻むと同時に、青い球体を肉薄する。
小さな青が跳ねて寸手を躱し、体当たりする。
「虎牙破斬!」
振り上げた剣を追うように、跳ねて追撃する。
叩き落とすように振り下ろし、寸断する。
スタンッ、と降り立つと、球体の影も打ち上げられた場からゆっくり落ちてくる。
刻まれた青がスライスされて、塵になって消える。
「…きれい」
ポツリと呟くと、カノンノが頬を赤くして、ぽりぽりと人差し指で掻いた。
あんな剣術は見た事が無い。
いや、剣術そのものを見た事が無いのかも。
なんにせよ、すごい。
他の『人』も、あんなに凄いんだろうか。
けど、あの剣は重そう。なんであんなに軽々操れるんだろう。
「すごいね」
「そうかな?ありがとう」
「私、武器ないんだね」
「そうみたいだね。どこにも無そうだし」
「私も戦いたい」
「えっ??」
「武器は無いけど、武器欲しいな。カノンノみたいにカッコ良く」
「うーん、でもなぁ…」
そんな簡単じゃない?
そうだよね。
でも、戦いたいよ。
だって、
かっこいいから。
「あっ、魔物!」
「うぇっ!挟まれてる!」
「私も戦える!」
「ダメだよ!武器もないのに!」
「魔法の使い方教えて!」
「えぇっと!呪文を唱えて…えっとぉ!」
きた!
えっと、じゅもん?
うた?
違うよね、じゃあ、
言葉?
『爆ぜし焔』
えっ、カノンノが頓狂な声を上げた。
長く細かな髪。端で束ねられた綺麗なプラチナ色がはためく。
そこに純白に等しい肌の色。
瞳の放つ色は紅蓮。いや、緋色。血の如く。
口元は涼やかで曲がりを知らない。
そんな少年が立っていた。
『続けろ、緑』
「みどり?私?」
『そう、お前だ』
「はぜしほむら?」
『さっさと詠め』
「えっと、『爆ぜし焔』」
『ファイアーボール』
「『ファイアーボール』!」
現れた少年に習って、右手を翳しながら言葉を紡ぐと、掌から熱いものが吹き上がる。
うわっ、と私は頓狂に声を上げた。
そしたら目の前の青いのが爆発して吹っ飛ぶ。
なにこれ!すごい!
カノンノも少しビックリしてる。
私を見てパチクリ目をしばたいてる。
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