暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第35話 『掘り出し物』
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彼はつなぎを着ていなかった。


「さすが、愛しのアンタだよ。いいね、いいねぃ」


 ケースを受け取った彼女は心底開けたくてたまらない衝動を押さえ、嬉々として顔を綻ばせた。


「んと、で? この初々しい子どもたちは……まさか、盗んできたんじゃあるまいね」


「盗んだァ? ハッ! 私は売ることはしても盗むなんてしないよ。この子たちは機械士を知ってる、とんだ『掘り出し物』さ!」
「へ〜、機械(マシナリー)ジカ(ディア)を?」
『…………』


 シカ(ディア)の言葉に感心し、エリオとキャロを見下ろす男がダィド・ノヴァクと知るのは、それからすぐのことである。






△▽△▽△▽△▽△▽






「なんか、びっくりしたね」
「うん。『おやつ買ったから帰るねぃ』って、すぐに行っちゃうんだもん」


 ダィドが自己紹介を終えたあとは、また空気に呑まれてしまうのかと思ったのだが、ノヴァク夫妻は「んじゃ、帰ろうぜぃ」という一言で『じゃねぃ』と行ってしまったのだ。同じ局に務めているからか、連絡先の交換も行なわずに。
 そして2人はまた市街地を歩きながら、エリオはシンディアから受け取った物を見る。


「コタロウさんに渡してって言ってたけど……」
「これ、どうみても」


 六課では見たことはなく、世間一般でもとんとみなくなった『煙草(たばこ)』である。2人がそれを知っているのは、フェイトと一緒に遊びに行ったとき、「あの人たちはどうして口から煙を吐いているの?」と質問したときに教えてもらったからだ。詳しいことは分からないが、身体には決してよくない中毒性の高いものだと彼女は言っていた。
 だが、その箱の説明を見る限り、そのようなものは書かれておらず、名称も違っていた。


煙樹(モンテコ)?」
「うん」


 白十字に樹木が描かれたラベルが箱には施されており、裏面には『生理活性健康増進喫品』と書かれており、人型のピクトドラムが右手で力こぶをつくっているマークがあった。


「『この製品は新陳代謝を促進させるものですが、本数を守って喫煙しましょう』……?」


 構成表にはキャロが良く知る、森林浴で取り入れられる物質が書かれており、健康促進、体力回復はおろか、癒しや安らぎ、はたまた虚弱者の体力増進の切欠として利用しても構わないような物質が含まれていた。魔法と同じキレイ(クリーン)なものだ。身体の内外関係なく全体を回復させるものらしい。
 これをいくつか消費された箱が1つと、新品が1つの計2つ――1箱20本――を受け取っていた。


「これ、売ってるのかなぁ」
「管理局の認定マークも入ってるけど、ストラーダ――」


 エリオ
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