暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第35話 『掘り出し物』
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缶を回す。


「それでネコは、どうだい?」
「あ、はい。元気です。一緒にご飯食べてますし――」
「隊長たちとも仲良くしています」
「…………」


 シンディアはまじまじと2人を見た。


「え、はい? ちょっとまって……コタロウって、コタロウ・カギネのことだよねぃ?」
「はい。そうですけど……」
「一緒に食事?」
「はい」
「仲良く?」
「あの、はい。そのヴィータ隊長という方がいらっしゃるんですが、その方とはホテルのレストランに行ってました」
「……は〜、随分ネコも変わったんだねぃ」


 信じられないという表情だ。


「ん、ん、ん〜〜。そっか!」膝をぽんと叩く「トラガホルンとロマノワだねぃ。そんな苗字の2人がその課にもいるだろう?」
「あ、いいえ」
「会ったことはありますが、うちの課にはいません。機動五課にいます」
「はい」
「そうなの? まぁ、あの2人が関連してるなら、頷ける」


 大きくシンディアは頷いた。つまり、それほど彼らは交流が薄いようだ。


『…………』
「しちゃったら仕様がないけど、緊張してる?」


 2人から少し距離をとり、ぎしりとベンチが軋む。


「あ、いえ、別に……緊張はしていますが……」
「なんていうか、全然ちがうな、と」
「違う?」
「あー、服装が?」


 まぁ、つなぎはこんな場所じゃ着ないよねぃ。と、鼻で笑いながら自分のつなぎを見下ろしてレンチやバールを取り出し、放り投げては持ち替えを繰り返して遊び始めた。


「いえ、そうじゃなくて……」
「失礼な言い方ですけど、コタロウさんと違って明るい方だなと」
「……あ、あー。それ、そっち」


 彼女は工具をすこんと袖口に入れて頭を掻き、幾分か声も低くなる。


「あれは、ネコが、その、特別なんだ」
「コタロウさんが?」
「そ。他は皆、結構明るい。まぁ、エリオくんやキャロちゃんには言いにくいんだけど、色々あったのよ」
「はぁ」
「でも、あの二人が私たちがやらなかったことをやっているようで、安心したよ。私たち工機課は全員ネコから逃げちゃったからねぃ」


 そのなにか諦めたような口調にエリオたちは口を開かず、ただじっと次の言葉を待った。


「私たちは――」
「おうい。シンディ〜〜」


 そのとき、片手に四角い紙製のケースを持った男が向こうから歩いてきた。


「やぁ、アンタ。買えたのかい?」
「噂のアイス屋さんとケーキ屋さんのブツ、仕入れましたぜぃ? 帰って美味しく頂きましょうや」


 旦那さんだろうか。年はシンディアと同じくらいの白髪交じりの茶髪男は不敵に笑い、彼女の目の前でふらふらとそのケースを見せびらかす。
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