暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第35話 『掘り出し物』
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おもむろに男を指差す。
「全く、恥ずかしくはないの? いい大人が……」
口ではこういっているものの、どうやらこの女性は怒りを
露
(
あら
)
わにしている男性を大人として見てはおらず、完全に子ども扱いしている様子だ。周りの止めようとしながら傍観している人たちは、その口調そのものが相手を更なる暴挙を引き起こすことは容易に予想ができ、その中の一人が交通規制を担っている局員に連絡を取った。
だが、女性の次の言葉が相手の怒りを頂点付近まで引き上げた。
「いい大人が、頬に……クックック……『
渦巻
(
うずまき
)
』なんて描いて……あっはっは!」
『…………』
彼女が腹を抱えて笑うので、持っていたレンチが落ち、周りの止まっていた空気にカランという音が響き渡る。
男は片眉を吊り上げ、横目で車の窓に映る自分の顔を見ると、両頬に赤い渦巻が描かれていた。
「手前ェがやったのか!」
「うん」
子どものように頷く。
「いやぁ、すぐ気付くかと思ったんだけど、ほら、あんた違法駐車しながら寝てたからさ。呼び掛けても起きないし……くくく……工具の他に持ってるものって、女性なら化粧品……はは……くらいのものだろう?」
彼女は「口紅は男にも似合うものなんだねぃ」と、終始笑いを
堪
(
こら
)
えながら声を漏らし、相手との感情の温度差をどんどん広げていった。
男の頬に描かれているのは、自分で描いたものではなく、女が描いた
悪戯
(
いたずら
)
書きのようだ。
[エリオくん]
[うん。この空気……]
相手の空気に飲まれない、自分独自の、或いは自分の空気に引き込むそれは、あの寝ぼけ目の男に類似していた。キャロは遠くから、エリオはすぐ近くから見ても、容姿や性格はまったく似ていないのに。
『[コタロウさんにそっくりだ]』
と言わざるを得ない。
男は着ている内側のポケットから、拳に丁度収まる大きさの木片を取り出し、スナップを利かせナイフを出す。エリオはまたすかさず女性の前に飛び出すが、
「はいはい。女の子の前だからって格好の良いところなんて見せなくていいから、しっかりあの女の子を守ってあげなさいねぃ」
「え、えぇ!?」
首根っこを掴まれて女性とともにくるくる回り、男の斬りつけを避けると、キャロの前にすとんと降ろされた。
「あ、あの!」
「男の子
盗っちゃって
(
スティール
)
ごめんなさいねぃ」
「いえ、そうじゃなくて……」
「え、あー。遠くでサイレンも聴こえるし、すぐにあの駐車違反……ぷくく……渦巻男は、いや、凶器所持疑い……ふふふ……ほっぺたくるくる男は連れて行かれるから」
そのまま、エリオとキャロの肩をぽんぽんと叩くと、彼女
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