暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第35話 『掘り出し物』
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オは相手が自分に確認させるように、1つ1つ区切りながら話すのを聞き、それが自分の今の素直な気持ちであることに気付いた。デートはただ単に自分が最近知った知識であり、キャロに対して生まれてしまった気持ちは、自分が呼び起こしたものなのだ。
 気付かされることも確かにあるが、自覚しなければそれは本物ではない。キャロを意識してしまったということは、どこかにそのような感情を持つ自分がいるかもしれない。だが、それは今の素直な気持ちには当てはまらない。


(……うん、そうだよ。少なくとも今は、いや、今日は違う)


 コタロウのいう通りだと思う。自分は今日も訓練とは別の、充実した一日にしたいのだ。そう考えると、落ち着きを取り戻すことができた。


「デートというのは自分の気持ちが重要なのかもしれません。自分がそう考えていればそれはデートだし、考えていなければデートじゃない」
「はい。相互と自己、あるいは三者の視点によって違います。大切なのは自分で気付くことです」


 なるほどと頷く。そして、そのままエリオはコタロウに礼を述べ、通信を切ろうとするが、では、と疑問に思うことがあった。


「あの、シャリオさんの組み立てたプランを進行することは楽しいことなのでしょうか?」
「ふむ。それも楽しさを見つけるという、その人自身によるところが大きいのでしょうが、重要なのは……」


 エリオは相手の言葉が途切れたので耳を済ませてみると、向こうからはなにかぺらぺらと紙をめくる音が聞こえてきた。


「これかな……? 重要なのは、一緒に悩むこと、です」
「一緒に悩むこと?」
「はい。独りで楽しむ場合、考えるべきは自分自身だけで構わないのですが、他者と一緒に楽しむというのは、先程モンディアル二等陸士がお答えしたとおり、その人にも楽しんでいただかなくてはなりません」
「はぁ」
「つまりはなるべく思考を同じにする必要があります。ロビンが言うに、楽しみを共有するのは難しくはないそうなのですが、一方が悩みに転じたとき、共有できないことが多いそうです」


――『例えば女性の場合、服を選び、悩むのも共有して欲しい感情の1つね』


「な、なるほど」
「もちろん、一方がリードする場合もありますので、これは一例に過ぎませんが、他者と――」
「友達と一緒に遊ぶときは、共有感が大切。ということですね?」


 他者という言葉が気にかかり、相手の言葉を遮って答えると、向こうは頷いた。


「わかりました。ありがとうございます!」
「いえ、お役に立てたようでなによりです」


 そうしてエリオは彼との通信を終えると、両手を後ろに回して待っているキャロに、


「ごめんね、キャロ」
「ううん。でも、どうしたの?」

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