暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第35話 『掘り出し物』
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 エリオとキャロは六課を出て最寄りの駅に着くと、シャリオが2人のために作成したプランを確認する。


「まずはレイルウェイでサード・アヴェニューまで出て、市街地を2人で散歩……」


 サード・アヴェニューというのはクラナガン中心部の代表的な通りの名前で――南北に伸びる通りをアヴェニュー。東西に伸びる通りをストリートという――そこには雑貨店や本屋、宝石店やレストラン、靴屋や花屋など、娯楽施設を含め様々な商店が並んでいる。
 そのため、


「ウィンドウショッピングや会話等を楽しんで――」
「食事はなるべく雰囲気が良くて、会話の弾みそうな場所で……」


 エリオやキャロが読み上げる内容を過ごすのには、不都合な点が何もない場所なのだ。
 彼女はエリオと目を合わせ小首を傾げるが、彼はこの内容に閃くことがあった。
 ぎこちなく相手と同じ仕草をしてみるも、必死に震える腕を押さえつける。
 その原因の1つは、出発前にフェイトから注意を受けた『キャロをエスコートすること』だ。これは、エスコートするほうとされるほうでは言葉の重みが違い、彼の場合はする側の義務に近いものであったために、覚えていたこと。
 もう1つは、先日のある夜、自分が寮の休憩室を通りかかったときにスバルとティアナが、コタロウとヴィータがレストランに食事に行ったあれは『デート』ではないか? という話を偶々(たまたま)耳にしてしまったことである。休憩室には寄らず、立ち聞きした限りだと、当時はトラガホルン夫妻がいたものの、どうやら異性と二人っきりで出かける行為というのは互いの親密を深めるための『デート』と呼ばれるものらしく、発展すれば恋愛というものに繋がるものだと話していた。
 エリオは自分が今、シャリオの立てたプラン通りにキャロという女の子と二人っきりで、進行していく状況を把握した結果、


(もしかして、これはスバルさんたちが話していた『デート』というものなんじゃ……)


 予測をたて、シャリオの人懐こい性格から直ぐに結論付けた。


「……ぁ、ぅ」
「エリオくん?」


 キャロは違和感に気付き、彼の顔を覗き込むように少し近付いて、目の前で手を振る。


「エリオくーん?」
「……っ!!」


 彼は気付いて三歩は大きく後ずさった。呼吸は荒く、瞳は不規則に震わせて。


「どうかしたの? 具合、悪い?」
「う、ううん! 違うよ! この通り元気です」
「そう?」


 ならいいんだけど、と訝しむキャロに、エリオは腕を振り上げて問題ないことを大きな仕草で表せてみせた。


「キャロ」
「うん?」
「ちょっと、ここで少し待っててくれる?」
「え、うん、別に――」
「直ぐにもどる
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