暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第34話 『ラッパのラ』
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がこう言ったことで一蹴されてしまった。


「それは秘密だ」






△▽△▽△▽△▽△▽






『――ングッ!!』


 コタロウが食堂に訪れたとき、秘密と言い張ったヴィータはタイミングが悪く、口に入れたミックスベジタブルサラダを喉に詰まらせた。他にも()()をみて同様に詰まらせたり、飲み物を吹き出したりする人が多く、茫然と開いた口をふさげないものもいた。
 彼が訪れたのはテレヴィジョンに映っている地上本部の事実上トップ、レジアス・ゲイズ中将が技術進歩が故の犯罪の手口の高度化なのか、高度化故の技術進歩なのかを問いかけ、今問題視されている揺らぎを確固たる決意を示すかのように声を荒げて、地上本部のこれからを説き終わったときである。
 誰にも聞かれないように小さく「……よし」と袖の中で拳を握ると、真っ直ぐエリオたちのテーブルへ向かっていった。その間、彼を知る人は、全員彼を目で追う。


「モンディアル三等陸士、こちらが私の私服になります」
「……え……は……はい」
『…………』


 コタロウは一度会釈をすると、ヴァイスが座っているテーブルに向かい、断ってから席に着く。


「いただきます……む、やっぱり、うごきづらい」
「…………」


 料理を自分の皿に盛り、ぱくりと口に放り込んだところで、


「な、なんですか、その服」
「やはり、この服装は隊舎にはそぐいませんか?」
「あ、いえ、そうではなく……なかなか見ない服装なので」


 ヴァイスが口を開き、視線を彼の服へ落とすのに合わせて彼も自分の服を見る。


「こちらは第97管理外世界の日本で時々着られる『着流し』といわれるものです」
「きながし、ですか」
『(……きながし?)』


 その服はつなぎと同様に上下一体であるが、締めるものは腰のあたりにある帯だけで、袖が無ければ布を巻きつけているだけの単純なものであった。ファスナーも無ければボタンも無く、肩から先の袖は振れるようにだらりと垂れ下っている。鉄紺(てっこん)色の濃淡は縦に縞が入り、その下から出ている足は紐と藁で作られた履物を履いていた。


「その土地の民族衣装といってもいいかもしれませんね」
「へぇ。あ、傘も和傘? でしたっけ、それになってますね」
「はい。こちらのほうがしっくりくるそうで」
「それで、その着流しってのはコタロウさんが自分で作ったんで?」
「いえ。これはロビンが作ってくれました」


 フェイトとコタロウの模擬戦を見ていないヴァイスは物珍しそうに――いや、実際に珍しい――着流しの構造や着方について質問しながら食事をすすめた。


「……さっきエリオたちが言ってたのってあれ?」

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