暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第34話 『ラッパのラ』
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に行ったとき以来だね、エリオくん」
「うん、そうだね。あとは六課に来たときくらいだ」


 別に休日が無いことに対して不満を漏らしたわけではなく、久しぶりに着る私服に少し緊張しているようだ。スバルとティアナもどんな服を着ようかと盛り上がっていた。
「――ぁ」


 その時、隣にいるエリオだけに聞こえるくらいに小さくキャロは息を呑んだ。彼女はそのまま(いぶか)しむ彼のほうを向き、声のトーンを下げて、


「エリオくん、エリオくん」
「どうしたの?」
「地球で一緒にお風呂入ったときのこと、覚えてる?」
「――っ!? お、覚え……」


 エリオはそこで口を濁した。キャロと一緒に入ったことを『覚えている』と応えることが、答えとして正解なのか誤りなのか判断がつかなかったからだ。


「あ、と……コ、コタロウさんと入ったときだよね?」


 と、決して二人っきりでないことを示す答えに落ち着かせた。
 しかし、キャロにとってはまさにそれが聞きたい答えであり、彼からコタロウへと視線を移す。


「うん……コタロウさんって、どんな服を持ってるのかな?」
「……あ」


 エリオもそこで思い出した。



――『私服は持ってはいるけど、めったに着ることがないため部屋の荷物の中にまだ収納されたままだね』



 この一言である。
 コタロウはトラガホルン夫妻を除き、互いが制服でない時のみ口調をくずす。思えば、彼が自分たちに柔和に話しかけたのはその時だけだ。彼の丁寧すぎる口調に慣れ、それが既に普通になっていたが、時がくれば口調は柔らかくなるということをキャロとエリオはぽつりと思い出した。


「それでね……」


 キャロはエリオの耳元で一つの提案を出すと、エリオはこくこく頷き「聞いてみようか」と、彼のほうに歩いていった。


「コタロウさん」
「はい。どうかなさいましたか、モンディアル三等陸士?」
「実はですね……」


 少し背伸びをして口に手を添える彼に、コタロウは膝を折り耳を傾けた。周りもそれに気付き、彼らを見る。


「それは構いませんが……」


 彼はエリオを真似るように耳打ちで言葉を返すと、エリオは満足したように顔を綻ばせた。


「何の話だ?」
「あのですね……」


 その行為に最初に口を開いたのはヴィータで、彼女にキャロが耳元で話すと、


「あー、なるほど。いいんじゃないか?」
『はい!』


 彼女も面白そうだと頷いた。
 そうなると、興味がわくのは周りの人たちである。なのはやスバルたちはキャロやエリオが内緒話をするのにも気にかかるところだが、その話した内容のほうが気になる。
 しかし、それはヴィータ
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