暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第33話 『なにか変か』
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疑問に思うことなく武器として使用するだろう。極論、それが故に自分が存在すると言ってもいい。


「トラガホルン二等陸佐やロマノワ二等陸佐もシグナム二等空尉と同じ考えです。『全員が私のような考えであれば、管理局はとっくに自壊を始めている』と自嘲していましたが」
「そうか……であれば、仕方がないな」
「申し訳ありません」
「ん。構うことはない」


 またカップを手に取とうとしたところで、はたと顔を上げる。


「……む、ということはお前がデバイスを使わなければ私と戦えると?」
「はい。それは構いません。先程の両二佐より、最低限の攻めは学んでいます」


 武器対無手か。と考え込むも、ヴィータから無手で敵を退けたということを聞いたこともあり――その時は無手対無手だが――湯が煮立つより早く彼に対する興味がわいた。
 ならば時間ができたときにと、シグナムはコタロウに約束を取り付ける。
 そうして心が切り替わると余裕も生まれ、自分はやはり深く考えるような人間ではないなと再確認する。思考に重さをおいていたせいか、周りを見ることもできなくなっていたが、今は部屋の回りを見る余裕ができた。
 コタロウの部屋は、おそらくほとんどの部屋も同じであるが、寝具と幾つかの私物で構成されているのがわかる。私物というのは今使っているこのティーセットと、


「……あれは?」
「資料集です。私は学がないため、機械を修理するときはその歴史や経緯を学ぶようにしているのです」


 『古代〜近代 ベルカの歴史 (武器・武具) 』と書かれた書物が目に入った。厚さは指2本程度で、大きさはポケットに入るぐらい。他にも同じ系統の本が棚に並べられている。


「ご覧になられますか?」


 彼女が頷くと、コタロウは立ち上がって机の脇にある本棚から本を取り出し、手渡した。


「こちらもどうぞ」
「私は目、悪くないぞ」


 カップの横に置かれた細い銀縁眼鏡を取らずに本を開くと、そこには何も書かれていなかった。ぱらぱらと数頁めくってみても同様に文字一つ書かれていない。


「何も書かれていないが」
「特殊なインクを使っているので、肉眼では見えないようにしてあります。その『隠解鏡(いんがいきょう)』を使わなければ見えないのです。内容は現代訳していますので、読めないことはないと思いますが」
「しています? というと、お前が作ったのかこの本」
「はい」


 コタロウ曰く、無限書庫やトラガホルン夫妻が講義をしている大学の図書館からそれに類する本を電子化して送って貰い、まとめ上げたのだという。読めないようにしているのはその書物の中に、漏洩防止策としてのインク生成の項目があったので興味本位から作ったらしい。
 眼鏡をかけ
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