暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第33話 『なにか変か』
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きであるコタロウに彼女は驚いた。目つきが変わるだけでこうも人の印象が変わるのかと思うのはシグナムにとって初めての体験だ。
彼がフェイトと戦ったときもこんな表情は
し
(
・
)
て
(
・
)
い
(
・
)
な
(
・
)
か
(
・
)
っ
(
・
)
た
(
・
)
。
ふりなのではない。本当に気付いていないのだ。自分の存在だけでなく、降り注ぐ雨の感覚も、その雨が奏でる音も、腿の上に積もっていく氷の粒の重さでさえ、彼からしてみれば存在を許されていないように思えた。
乱れる心境の中、また少し雨脚が強まった。
△▽△▽△▽△▽△▽
シグナムという女性は自分が騎士であることは自覚していたし、余程の切欠がない限り他人に関心を示さない人間であることも自覚していた。もちろん、アルトやヴァイスといった自分に踏み込んでくる人間に対しては、例外である。
――『あれ? なのはさん、コタロウさんはお昼も自分の部屋ですかい?』
――『うん。さっき聞いたらそう言ってたよ』
気付けば彼の部屋のブザーを押そうとしているのは、些《いささ》か自分でも首を傾げた。
押す前に一度
躊躇
(
ためら
)
い、
(
あ
(
・
)
の
(
・
)
時
(
・
)
のことを『訊く』のではない、こちらから一方的に『頼む』のだ)
と言い聞かせ、ブザーを押した。
数秒後、ドアが開くと見覚えのある寝ぼけ目をした男が自分の正面に立っていた。
「はい」
「…………」
「何かございましたか、シグナム二等空尉?」
「あ、いや……」
彼女の言葉が出なかったのは、地球へ訪れたときの銭湯で一緒に入浴したヴィータたちと同じ理由だ。コタロウは着替えの途中で、つなぎの上半身だけ脱いだ状態であり、腰の部分を折り目に生地がだらりと下がっていた。いくら彼女といってもその覚悟や緊張感がなければ――彼の表情も助長している――服の上からでない非対称な彼の両肩を見れば、言い淀んでしまう。その男は左肩から先がないのだ。
「ひとまず、服を着たらどうだ?」
「……はい」
振り返ったときの彼の背中にある火傷も彼女の目に留まった。
心に隙があったせいか、「
部屋
(
なか
)
でお茶でも召し上がりになりますか?」という彼の言葉にシグナムは首肯していた。彼は新しい黒のインナーを着込み、つなぎのファスナーを上げると、それほど時間を掛けることなく、部屋に置かれているテーブルに座るシグナムの前にお茶を出した。
シグナムはカップの面に映る自分をみて、二三度瞬きをし、
「何故誘った」
「まだ時刻的に休憩中で着替える時間を頂きましたし、呼び出しではなく上官自ら下官の部屋に訪れるほどのご用件であれば、公的な命令よりも寧ろ、何か個
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