暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第33話 『なにか変か』
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 シグナムは目を細めながら上を見上げると、鼠色の雲が直ぐにでも重さに耐えきれずに雨を降らせようとしているのが窺えた。そのまま彼女は一度身体を強張らせたあと、肺の奥まで空気を入れて大きく深呼吸し、六課の隊舎と寮を一周しようと歩きはじめる。
 そして、まずは寮へ向かうために角を曲がったとき、ザフィーラが何気なしに口を開いた。


「先ほど、カギネ三士に会った」
「……そうか」


 彼はあくびをかみ殺し頭を振る。


「何か、準備をしていたな」
「準備? 新人たちのか?」


 シグナムが語尾を上げて、右耳をひょこりと動かす彼に視線を下げる。


「いや、違う」
「……要領を得ないな」
「む。木の周りを縄と杭で囲って敷地をつくろうとしていたな」


 自分で話題を彼女に振っても、話の終着をさせることはできず、2人の間で無言が続いた後、シグナムはザフィーラをやや前にして、あとに歩調をあわせた。






 コタロウがいるのはどうやら寮の近くらしく、そちらへ歩みを進めていく。
 そして、寮の入り口を正面に右側面にある、日の出の影になる場所に生えている一本の木の見えると、その下には片手で十分握れるほどの細い杭が打たれ、人が入らないように縄で杭と杭の間を結んで柵をつくり、その中にコタロウはいた。
 彼は両膝をつき、一見正座のように見えるが、つま先は立て、即座に動けるように構えている。作業帽は深く被り表情を窺えず、手は足の付け根に添えられている状態で座り込んでいた。
 2人がその柵の外、彼の正面に立っていても相手は動く様子はなく、微動だにしない。


「『訓練中です。 命令、指令の際は念話あるいは通信でお願いいたします』……と書かれているな」
「ふむ」


 ザフィーラが柵に貼り付けられている注意書きに気が付いて読み上げると、ぽつりと
シグナムの肩に雨粒が当たる。


(……訓練中、か)


 座りながらも動ける姿勢と、その張り紙の内容から訓練中ということは間違いないだろう。しかし、訓練内容が分からない。普段彼とともにある傘は彼の背後にある木に立てかけてあり、構えとは別に使う様子は無い。
 ならば瞑想かと考えるが、それならばそもそもこのような体勢はとらないと考えが初めに戻る。
 やがて、身体に当たる雨粒の間隔が短くなるのとは無関係に、シグナムは思考を打ち切った。


「……やめておこう」
「どうした?」
「いや、強さに関する情報は極力避けようと思ってな」
「……ん」


 ザフィーラが首を傾げると、彼女が機会があれば交えようとしていることを話す。自分が相手の魔力量だけで実力を判断し、本当ならあの場に立っていたのは私であったこともそれとなく付け加えると彼
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