暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第32話 『だからこそ』
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彼女はあの言葉を聞いたその日から、今日までの数日間、今までの教訓を活かし、ある作業に取り組んでいた。必要な情報は集め、必要な品物は揃え、差し迫る時間を除けば必要なものは全て揃っている。
「……よし」
ここから外は見えず時計だけが頼りで、それを見る限り、残り時間は5時間を切っていた。そこで彼女は残り時間ではないと首を振る。元々制限時間として5時間と決めていたのだ。それに考えるならば、
「あと、5時間もある」
と、前向きに思考を切り替えることである。
そうしなければ、これからのおよそ5時間を乗り切れないかもしれない。自分の周りには誰も居らず、自分の影を作り出している頭上の光だけが、孤独という恐怖を和らげている。
怖いのであれば誰か呼べばいいのではないか? という疑問は、今の彼女にとっては考えてはいけないものの1つ。寧ろ、誰かに見つかることは気まずさを生んでしまい、明日の計画に支障をきたしてしまう。見回りの人には既に見つかってしまったが、理由を話せば快く引き下がってくれた。彼は仕事を全うしているだけなのだ。隠すことはできないし、彼女自身の行動はたとえ執務官であっても裁くことは出来ない。
「大丈夫」
彼女は自分に言い聞かせ、初めになにをするか、その次は、と順序を確認して、深呼吸をした後、
「よし!」
敵に立ち向かうかのごとく、それに手を出した。
コタロウは早朝訓練の付き添いが終わり、フォワード全員揃って食堂へ向かう。朝食を摂るためにヴァイスと一緒に食事を用意し――彼は片腕しかないため、持ち運べる数に限りがある――2人揃って席に着いたとき、向こうから身なりはきちんとしていても、かつてのシャリオのようにふらふらと歩みを進める女性が目に入った。彼女を見かけた人たちは心配して声をかけると「大丈夫、だいじょうぶ」と手を振って気遣いに感謝していた。
そして、彼女は自分の視界にその対象者が目に入ると、真っ直ぐにそちらに向かって、テーブルの前でぴたりと止まる。
「おはよう、ヴァイス君、コタロウさん」
「お、おはようございます……って、大丈夫ですかい? 眠れなかったんで?」
「おはようございます、シャマル主任医務官」
シャマルは背筋を伸ばし、ぶつぶつを自分に何か言い聞かせるような言葉を吐き、一度頷いたあと、テーブルの上に布製の生地に包まれた箱をコタロウの前に置く。
「コタロウさん、これを……」
「こちらは?」
彼は箱を見て、上目で彼女を覗き込むことのないよう、顎を上げて彼女を見る。ヴァイスはその箱の大きさ形状からある種の予想を立て、彼女が彼の質問に答える前にそれが何かを決定付けた。よほど間違
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