暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第32話 『だからこそ』
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何故、このような――今は彼が顔を近づけたことにより動揺しているが――表情をしているか分からないのだ。
 だが、この六課に来てから、表情変化を見る機会が今までにないほど増えたコタロウは、今まで把握できていた『泣き』『笑い』『怒り』など、特徴ある感情からくる表情以外にも自分に向けられるものがあるのではないかと疑問を持ち始めたのである。


「私がお弁当を頂いたことについて、何かご不満な点が?」
「――え? べ、別に、そういうわけじゃ……」
「……そうですか」


 彼にとって彼女の表情は『怒り』には見えなかったらしく素直に聞いてみるが、リインは首を横に振る。
 しかし、彼女はそこで目を見開き、ぽんと手を叩いた。


「そうです! リインは不満なのです! なので、私の不満を解消してください!」
「……? わかりました」
『…………』


 胸を張って『不満』を自慢する彼女に、彼は頷く。
 自ら自分の引け目を自信満々に語り、且つそれを公私関係なく真摯に受け取るのことができる人間は、ここでは彼ぐらいのものである。
 リインは相手――特にコタロウ――に自分の考えが伝わったのか、胸を撫で下ろし、またちょこんとハンカチの上に座り込んだ。


(……不満。この場合、原因が問題じゃなくて、解消する策を考えればいいのか……)


 コタロウは彼女とお弁当を見比べながら考え込む。不満を抱えている人間に質問することは、時々さらなる不満を与えかねないので、リインへの質問はできない。
 助けとなる情報はシャマルと自分の遣り取りだ。
 顎に手を当てたり、テーブルをコツコツ指で叩きながら、先ほどの遣り取りを振り返り、飲み物で喉を潤したあと、


「……む、う。それなら……」


 悩みながらぼそりと独り言を吐く。


「私が、リインフォース・ツヴァイ空曹長に『お弁当』を作るのは……いや、それはダメか。それだと――」
「ん! それにしましょう!」


 リインは彼の独り言に賛成と言わんばかりに飛び上がり、彼のまわりをくるくると舞う。
 彼は首を傾げた。


「私がお弁当を作ることでよろしいのですか? 時間がないのでパンで挟むといった『サンドイッチ』になってしまいますが……」
「はい!」
「最悪、私がその場で作るということになってしまいます」
「『一緒に食べる』ということですよね? なおのこと良しです!」
「……よろしいのですか?」
「よろしいのです!」


 片手で作るため時間がかかることも告げたが、彼女はより一層目を輝かせた。今度は星の自転のようにくるくる回る。


「わ、かりました。それでは、今日の昼食は私がリインフォース・ツ――」
「よろしくないです!」


 言葉を遮
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